【まふまふ】白くて黒い【そらる】

Coffee 12 ページ12

「…何処にも行かないよ。」


温かくて大きい手のひらで私の頭を撫でる



安心するその手でさえも今は何も感じなくなってしまった


好きなはずなのに




会いたかったはずなのに





"好きって言われたことあるの？"



まふくんから言われた言葉で脳が埋め尽くされる



『…そらるさん、好きです』




「…うん」



好き の2文字も聞けないこの関係は何なのだろうか



『…そろそろ出なきゃですね。』



苦しくて息が詰まりそうだ



そらるさんの腕から抜け出し逃げるように部屋から出る





少し前までの自分はそらるさんに会う度に嬉しくてどうしようもなかったのに

今は罪悪感に塗れて顔さえ見れない。




「そらるさんと何かあったの？」



部屋を出たあと人気のいない場所へ座り込んでいると
上から明るい髪の毛の彼が見下ろす



私の事なんて全てわかっているようなその表情



『まふくん…。』



「うん、それで何かあった？」



『…何でもない。』


そらるさんが好きって言ってくれない、なんてそんなこと言えない。
まずこうなったのはこの人の所為なのだから。



「ふーん、まぁそらるさんと物置部屋にいるとこ見ちゃったけどね？」


やっぱり彼は悪魔だ。

全て見透かしているような瞳



まふくんがしゃがんで私と目線を合わす


酷く優しい表情をしていて目が逸らせない。



「今日はボクのお家おいでよ。」




有無を言わさないその言葉は




私にとって甘い囁きだった。

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