十二節 ページ34
瓜生「悪かった！」
向坂「申し訳ない」
そう言う二人に目を見開く。
まさか謝られるとは思っていなかった鵜久森叶は、思わず手に持っていた鞄を落としかけた。
その様子に鵜久森叶はなんとも言えぬ顔で気まずそうにしており、それが伝わったのか無言の状態に耐えきれなかった向坂俊二が本意か不本意かは知らないが何故かバイトの顔出しに誘ったのだ。
困惑していた頭が一周回って冷静になる。
鵜久森「いや…。」
向坂「あぁ…いや、そりゃそうだよな」
当たり前か、とでも言うように眉と肩を下げ諦めようとしたその時、鵜久森叶が少しだけ食い入るように素早く口を挟んだ。
鵜久森「でも…駅まででよければ……」
そう言ってくれた鵜久森叶に二人は嬉しさと同時に申し訳なさが溢れていた。
また、鵜久森叶もその様子を見て誰かと一緒に帰れるという嬉しさに口角を上げ、浸っている。
べすとほっぷに顔出しに来ると金髪のショートの女性がビールを片手に出迎えてくれた、しかし二人にとっては顔も知らない人である。
酔っ払った金髪の女性は勝見夏穂であった。
早乙女「ごめんね、ちょっともうこいつ夕方なのに仕上がっちゃって」
瓜生「誰っすか？この方」
早乙女「私の高校からの友達、あともう一人友達が」
早乙女智美の見ている視線を合わせるとそこには思ってもいなかった人物がカウンターに座っていた。
驚愕し、思わず心の声が零れ。
瓜生「先生が何で…」
九条「私の行きつけのお店なので」
早乙女「騙すようなことしてごめんね、瓜生君をバイトに誘ったのは里奈からお願いされて声掛けたんだよね」
瓜生「えっ！？」
九条「恐らく瓜生君は私のお金は受け取らないと思ったので」
向坂「すっげぇ、マジで何でもすんだなあの人」
夏穂「英語の例文って何でこんなに詩的なんだろうね、『これはカブトムシですか？』『いいえ、消しゴムです』どんな文章だよ」
夏穂「ねぇ、これ直木賞取れるよこんな文」
横目でそんなことを発する勝見夏穂を見て気になったことを聞いた。
何でこんなことに協力してくれたのか、と。
早乙女「あぁ…うーん…友達だから、里奈の。あと、私、昔お金が理由であいつらと同じ高校中退してんだよね。多分その時のこと里奈も悔やんでくれてるってのもあって私に話持ってきたんだと思うけど」
そう言って早乙女智美は、九条里奈の元へと足を進めた。
瓜生陽介と向坂俊二は何か考えるような顔をしてその場に立ち伏せるしかなかった。
続く
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龍亜(プロフ) - 何回も読ませて頂いています。何回読んでもとっても面白いです。次の更新待ってます！頑張って下さい！ (4月20日 18時) (
レス) @page11 id: 3f328260d4 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ(プロフ) - るいくんから愛されてる(名前)くん好きです！続きが気になります！更新待ってます！頑張ってください！！！ (11月5日 0時) (レス) id: 02f6ea63a3 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - ゆいちーさん» ありがとう！！これからも頑張ります！！！ (9月29日 8時) (レス) id: bf417ca2b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいちー - 更新嬉しいです！これから先も、頑張ってください！ (9月27日 20時) (レス) id: 04235e7b6e (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 龍亜さん» レス遅くなりました！💦ありがとう！！！楽しんでいってください！！ (9月26日 16時) (レス) id: bf417ca2b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2023年8月7日 3時
