八節 ページ30
【咲倉A】
一つこの古い扉を開ければ見えるのはヒラヒラと飾られた如何にも女っぽさがあらわれる洋服と、高級ブランドの化粧品の数々。
香水か、マニュキュアか、何なのかは知らないがツンと刺す匂いがこの部屋に充満していた。
辺り一帯を見渡して陽介の方を見た。
そこには俊二が陽介の母親に頭を下げている所だった。
一旦頭を上げた俊二
瓜生「は、なん…で、お前まで…」
向坂「え？？」
九条「咲倉君…」
暫くその状態で固まったが、一息つくと洋介が俺に声を荒げた。
瓜生「何しに来たんだよ！ホントに！」
荒らげることをやめない陽介にお金の入った茶封筒を押し付ける。
俺も何でこんなことしに来たのかなんて分からない。多分、自己満足なのだろう。
こうすれば、というよく分からないものが自分の中にある。
陽介が転校するのは知っている、だからなのか。只焦燥感に駆られているだけなのか。
しかし、こうすればこうなるという未来が鮮明に描かれることは今までも無かった。真っ暗な道で迷子になったかのように彷徨う、そう思って渡したお金の筈。
最早自己中で笑えてくる。
瓜生「な、んだよ…これ！！」
陽介の家から出ていった俺の耳にも扉が薄いのかしっかりと聞こえた。
＿＿＿＿＿＿
先程の出来事に理解が追いつかない4人。
その頭には疑問しかし出てこなかった。
それもそうだろう。咲倉Aからしたら意味のある行動だったのかもしれないが当の本人たちはその行動の意味を汲み取ることが全くもって出来ない。
意味があったとして、赤の他人に何故これ程までに大切なお金を渡したのだろうか。
いくら考えても意味が分からなさ過ぎて瓜生陽介も怒りの火が一旦鎮火された。
しかし、瓜生陽介の母親の行動で直ぐにまた火がつくのであった。
瓜生陽介の母親は、先程咲倉Aに押し付けられた厚い茶封筒に手を伸ばしていたのだ。
誰もがその時に思った。
反面教師とはまさにこの事だと。
瓜生陽介は直ぐさまその茶封筒を取り上げ、自分の後ろへと隠した。
瓜生「何、やってんだよ！！」
さっきまでのこの部屋の静けさは何だったのだろうか。そんな事、元々なかったかのように又この部屋には瓜生陽介の怒鳴り声でいっぱいになった。
瓜生「ふざけんなよ、ふざけんな…！！俺の友達にこんな事させんなよ！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 268人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
龍亜(プロフ) - 何回も読ませて頂いています。何回読んでもとっても面白いです。次の更新待ってます！頑張って下さい！ (4月20日 18時) (
レス) @page11 id: 3f328260d4 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ(プロフ) - るいくんから愛されてる(名前)くん好きです！続きが気になります！更新待ってます！頑張ってください！！！ (11月5日 0時) (レス) id: 02f6ea63a3 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - ゆいちーさん» ありがとう！！これからも頑張ります！！！ (9月29日 8時) (レス) id: bf417ca2b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいちー - 更新嬉しいです！これから先も、頑張ってください！ (9月27日 20時) (レス) id: 04235e7b6e (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 龍亜さん» レス遅くなりました！💦ありがとう！！！楽しんでいってください！！ (9月26日 16時) (レス) id: bf417ca2b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yui | 作成日時：2023年8月7日 3時
