TurnHeadHello (ページ10)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:378 hit

べページ10

ピンポーン……

聞き慣れた機械音、チャイムが鳴った音だ。

お母さんが帰ってきたのかな、ボーッと眺めていたパソコンから離れてインターホンが設置されているリビングへ向かう為に部屋を出た。

階段を降りる途中、ぼんやりとモザイクのかかった小窓を覗いてみる。玄関は見えない、また無駄なことをしてしまった、考えを流してリビングへ繋がるドアを潜りピコピコと誰かがきたことを知らせる通知の光を横目にボタンを押して返事をする

「ハーイ」

「あ、宅急便でーす。」

「ハ～イ」

母じゃないことを確認したので私は急いで自室に戻る為に扉を開き階段を駆け上がり、自分の部屋のドアをバーンっ！！と開ける、今嫌な音がなったけれど気にせずにそこら辺にあった上着を羽織ってジッパーを上に引き上げつつ階段を下る、あ、リビングのドアが少し空いている、あとで閉めないと……

そんなことを考えながら玄関に常備されているハンコを持ち、靴の端を踏むように履いて鍵を外し扉を開けた。

「ええっと…………ヨンエックス様……で間違いはないですか？」

「はい……？」

ヨンエックス、ヨンエックス……？お母さんのユーザーネームはいつもおかしいけどこんなのあったっけ？

いつも母が使っているユーザーネームを一つ一つ思い出しているが覚えがない

待てよ、ヨンクエックス、4Xまさかとは思うがあの牡羊座の人……かな

「す、すみません、差出人の名前を見せてもらっていいですか？」

「はい、いいですよ」

変な名前に慣れてしまっているのか特に表情を変えずに宅配の人が持っているやや大きめなダンボールに貼られている小さな紙を見せてくれた。

エアラム・♈

うわあ

眉間にシワが寄りそう、偶然なのか必然なのかわからないしエアラム、って名前(？)はわからないけれど見覚えしかない牡羊座のマークがある

「ありがとうございます、あの、ハンコ」

「ああ、はい、ここお願いします」

察してくれたのかそのままの姿勢で待っている、私は送り返してくださいなんて言えなかったので一先ずは受け取ることにした、幸い送料はあちら持ちなのでお金を払わないし

ありがとうございました、と一礼して家の中へ入り鍵をかける

何だか牡羊座の人がザマアミロ特定できるんだぞっと舌を出してドヤ顔してそうな気がする

苦い気持ちになった私は開いているリビングのドアのことも忘れ、自分の部屋へとそのダンボールを持ち帰ることにした。