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私が最初から『女の子』になれなかった一番の理由は自分自身にあった。私は今更ながらようやくそれを理解した
「..そんな私を坂田が変えてくれて、それでだんだんなりたい自分になれて...楽しかった。でもまァ、周りと比べれば女の子っぽくないかもだけど...」
「ンなことねェよ、...可愛いよお前は。昔っからな、...だから俺はそんなお前を誰かに汚されんのが嫌だ、それくらい俺にとってお前は大切だ、」
トシは私の頬に軽く手をおいて、優しい表情を向ける。
「けど...お前が幸せになれんならどんな野郎と一緒にいてもいい。..まァ、お前を傷つけるようなマネしたらそんときは許さねェけど、」
「トシ、こっわ..__」
思わず笑ってしまうと同時にふと思う。..もし今、トシに『好き』って言ったらどうなるんだろうかと。期待できる返事がくる可能性はある
けれど、私はそんな気は起きることはなく。..もしかしたら私は、かなり前の段階でトシへの想いは割りきっていたのかもしれない
『女の子』になれないのを勝手にトシへの恋心を理由に決めつけて、自分の弱さから目を背けた。
私はトシが好きだ、..いや正確には『好きだった』。既にもう想いは別の方向へと代わり始めていた
「..トシ、私がトシの嫌いな人と一緒になったとしても怒らないでね。」
そういうとトシは何かを察したかのようにして、軽く笑って
「どうだかな、...まァ、いんじゃねーのか。お前がそう望むなら__」
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なゆ(プロフ) - めっちゃ面白い!更新頑張ってください!! (2019年8月26日 12時) (レス) id: af64f6a838 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シオン | 作成日時:2019年8月10日 23時