守る翼４

番外編：雨の日の上司 ページ14

エルドside


−８４９年−


俺は書類を片手に
リヴァイ兵長の執務室を訪れていた。


本来こういった事はAの仕事だが、
今アイツは団長のおつかいを引き受け
留守にしている。

まぁ…今回はちゃんと
兵長に言ってあるようだが。

　

　

　
兵長は受け取った書類を
1枚ずつ丁寧に目を通す。


確認が終わるのを待っていた俺は、
さっきまで机に向けられていた上司の視線が
窓に移っていることに気づいた。


「雨、降ってきましたね。」


いつの間にか降り出していた雨。

そのせいか、
さっきより外が少し薄暗く感じる。

　

「そうみてぇだな」

兵長は
興味が無さそうに返事をすると
また手元の紙に視線を戻した。


しかし、
彼の意識はまだ窓の外にあるようだ。

目の前には
書類を確認しながらも
窓の方をチラチラと気にする上司の姿。

　

「兵長、後は俺が団長に提出しておきますよ。」

　

俺は知ってる。

なぜ彼が窓の外を気にしているのか。

　

「あぁ…助かる。」

少し間を空けて
返事をした兵長は、
足早に部屋を出て行った。


急な雨に見舞われ、
今頃どこかで困っているであろう
部下を迎えに行くために。

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