可愛いお嬢ちゃん ページ34
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コーヒーを頼んでいる時間、この異国情緒溢れるカフェの内装を見るのは非常に楽しい。ずっと頬杖を突きながら、Aが見渡していると、男性が何人か近づいて来た。
「嬢ちゃん嬢ちゃん、凛月は元気かえ?」
「やあ、可愛いお嬢ちゃん♪この店は初めて?」
「よぉ、一年坊主。初めましてだな」
「転入生か……初めてだな。よろしく頼む」
上から、朔間零、羽風薫、大神晃牙、乙狩アドニス。つまり、UNDEADのメンツだ。
『はっ、初めまして……。桜瀬Aと言います。えっと、UNDEADの皆さん……ですよね?』
大柄の男達に囲まれてしまえば、さすがのAでも硬直しかける。
「そうじゃ…♪ところで、凛月は……」
零が妖艶に微笑む。
カタコトと固まっているA。その様子を見て、カウンターから夏目が「ちょっト、零兄さんあんまりいじめないでよネ」などと言っている。
「あ、そう言えばAちゃんってさ。あ、Aちゃんって言って良かった?
あのさ、UNDEADの代わりにボイス進行員とか副音声とかやってくれてたんだよね。あのときは本当にありがとう」
薫は女の子の扱いに手慣れている為、へらへらと笑っている。Aが質問に対して返事をする間も無く、話を続けていく。
『い、いえ、全然です』
今思えば、あれは全て英智の策略だったのかもしれない。UNDEADからAにボイス進行員を移すことで、【GIC】への期待を深める。応募人数を増やす。真・革命を起こしやすくする。
最初から全部考えられたものだったのだろうか。
「まあ、でもありがとな」
少し頬を赤めて外方を見ながら、晃牙もAに礼を言う。
『そ、そんなこと…』
そうAが謙遜をしまくっていると、零が頭を撫でてくる。
「偉いぞA。この調子で【GIC】も頑張っておくれ♪」
一度は革命で倒れた零でも、今回の真・革命ではAを応援してくれるようだ。
薫も零に引き続き頭を撫でると、カバンからチョコを出して、Aの掌に乗せてくれる。
「はい、Aちゃん。あと、もう少しで初戦だからって疲れ溜め込まないようにね♪」
アドニスもそっと近づいてくる。
「そう言えば、桜瀬。お前はこの店の肉をもう食べたか?とても美味しいから是非食べてみると良い」
アドニスのその一言に、みんなが笑いを堪えられず吹き出す。
『面白いんですね、アドニス先輩って…』
Aのその言葉を聞いて、アドニスは不思議そうだ。
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作者名:梓詩織 | 作成日時:2022年10月12日 21時