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「うん、うん。そうなんだね。」
唇の温もりが余韻に変り始めると
自分の肩に私の頭を引き寄せる。
電話口の哉斗さんの声も日和の声も
はっきりと鼓膜を擽る。
こんなに私がどきどきしていることなど
こいつにはお見通しなのかもしれないけど
私がこの楽しそうな顔を哉斗さんに向けられたものなのか、私に向けられたものかを判断するのは難しい。
(みんな練習したりしてるし、私だって暇じゃないのに...
もう少しって思っちゃうのは惚れた弱み、か。)
そう思ってるとふと目が合って
頭を優しく撫でられた。
「うん...兄上。そろそろ戻らなきゃ、うん、続きはまたね。
不出来な弟のせいで何かと迷惑かけてると思うけど、ぼくもぼくなりに頑張ってみるから
父上、母上によろしく。それじゃあね。」
「......」
「ん？どうして猫に犬のおやつあげた時のような顔してるの？」
「犬しか飼ったことないから日和に猫の顔もその気持ちもわからないでしょ〜」
「犬は可愛いしね！猫も嫌いじゃないけど！」
「......あのさ、不出来な弟...じゃないでしょ。日和は。」
それだけ癪に障る。
と今までくっついていた体を離した
「ははっ、ありがとね...よしよし。」
「ん〜〜っ大事な話！」
「んー、一般的に不出来な弟でももう貰い手見つかってるし、ねっ？」
「も、貰ってもらうのは私でしょ普通...念願の結婚相手が不出来じゃ...困る、んだけど...」
「...どこでそんなの覚えてくるんだろうね？悪い日和...そういう顔他の男にしてないだろうね？」
火照りに火照った私の頬に日和のひんやりした手を当てられ小さく声が漏れる。
「ぼくが完璧な弟だったは今以上にモテちゃうし！それで困るのはAでしょ？」
「それは...我慢する。」
「...その気持ちを汲んで、言動には気をつけるね。
だから我慢はダメだね！この巴日和のお嫁さんになるのに我慢なんて許されない。わかった？」
(わっ...お嫁さんって...)
咄嗟に表情筋押し殺してると、
お返事が聞こえなーいと、唇を指でなぞられ
ちゅっと吸われる。
「この口は飾りかね？お返事は？」
「は...い、...はい。」
「よろしい！」
(クソっあいつら扉の向こうでいつまでイチャついてんだ。
扉ぶっ壊すぞ！！！)
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作者名：ちよ乃 | 作成日時：2018年10月11日 10時
