その笑顔の先に【伊 東 歌 詞 太 郎】

笑顔95 ページ49

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"海はなんでも流してくれる"









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そう思ったのはいつだったか









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見ているだけで吸い込まれそうな月が好きだった。








ある日海に来たときに浮かんでいた月を見て






自分が自分じゃないみたいだった。







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全部流れて、吸い込まれて






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それで終わればいいのに。



そう思った。









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そんな時、歌詞さんが俺のことを助けてくれた。









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『悩んでるときは、歌えばいいんだよ!
ほら、天月君も歌うことは好きでしょう?
天月君の歌を待っていくれてる人がいるっていうのは
とっても幸せなことだと僕は思うなぁ…』









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その言葉に救われた。





歌うことを躊躇していた俺を

歌詞さんはいとも簡単に解決してくれた。









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だから、今度は俺が歌詞さんを助けてあげたい。









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でも









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『…藤岡Aさんの心臓は……
もうこの国の医療では到底治すことが出来ない状態です。
今のまま心臓移植をするのはとても危険です。』









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もうどうしたらいいのかわからなくなった。

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