058）優しいバラード<You side> ページ8
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パタン…
ドアが閉まる。
A「っ…」
靴を脱ぐのも忘れて、その場にヘタりこんだ。
《あいつ。1ヶ月くらい前に女の子とスクープされたでしょ？信頼していた友人にはめられたそうです。》
《あの騒ぎのせいで、ドラマの主役の話が無くなりました。》
《休ませてます。表向きには体調不良という事で》
A「ジェジュン…」
ジェジュンが女の子と一緒にいるところをスクープされた時、相手の女の子はライバルの事務所の所属、しかも未成年だったとかでジェジュンは世間から叩かれた。
ジェジュンは一切言い訳をしなかったけれど
スクープされたのが深夜だったから、言い逃れは出来なかったと聞いた。
そのせいで、ドラマの主役まで下ろされていたなんて…
あの時の私は、聞く耳を持たなかった。
いや、正確には気にしてないフリをしていた。
怒ったり泣いたり、責めたりすることもせずに
関心のないフリをした。
本当の事を知るのが怖かった。彼にとってもう私は必要ない人間だと認めたくなかった。
それが
それがジェジュンにとってどんなに残酷で辛い事だったのか考えもせずに。
しばらくその場を動けなかった。
やっと足が動いた頃には外はもう真っ暗になっていて
やっとリビングにたどり着いてソファーに座った時に、バッグの中で携帯が震えた。
シム君からのメール。
榊さんからも。
《ヌナ。大丈夫ですか？》
《大丈夫！心配かけてごめんなさい。》
そう返信した。
バッグの中にはカンさんから預かったジェジュンの新曲のデモCD。
《ジェジュンが作詞しています。聞いてみてください》
デッキにCDを入れる。
流れ出した曲はやさしいバラードだった。
A「う…ううっ…」
溢れ出る涙はいつまでも止まらなかった。
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作者名：mari
| 作成日時：2018年1月31日 23時
