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初めて見かける人で
すぐに新しい横尾さんのマネージャーだと分かった。
「私がですか？付き合ってないですよ」
自然に嘘をつくと、彼女は安心したように
「よかったあ…」
と、笑った。
たしかに担当に彼女がいたら
仕事に影響出てしまうんじゃないかと考えてしまって不安になる気持ちは分かる。
新しいマネージャーの彼女は、さっきまで疑うような目で私を見ていて、
でも、今の安堵の表情は純粋にそれだけ？
彼女を見るとキラキラした目でステージに立つ横尾さんを眺めている。
え、え、え
この人横尾さんの事、す
「OKですー！！」
スタッフさんの大きな声で我に返る。
椅子から立ち上がって横尾さんの方に向かおうとすると、真っ先にキラキラしたキスマイメンバーが私の前に集まってきた。
「どうでした？」なんて、なんで私に聞いてくるんだろうか、
横尾さんはというと、私がみんなに囲まれているから一瞬こっちに来るのを戸惑って、彼女の方へ行ってしまった。
「あ、えっと、やっぱりかっこよかったです
マネージャー降りたの悔しいくらい」
そう、実際はしっかり観れていなかったのに、言ってしまった。
少し遠くで彼女と話している横尾さんを目で追いながら心ここに在らずな私。
横尾さんは私に気付いてくれてこっちに駆け寄って来てくれた。
「Aちゃん困ってるでしょーよ」
横尾さんはメンバーと私の間に割り入って、またシッシッと手を払った。
「横尾さん過保護すぎー」
「うるさい」
「わーこわ〜」
男子校の休憩時間のようだ。
でも私の頭の中はさっきの彼女のことで頭がいっぱいだ。
私、結構やきもちとかするんだ。
「じゃ、俺ら行くから」
横尾さんはそう言うとあっさり、現場を離れようとする。
「ご飯かなんかするの？」
宮田さんがにこにこして聞く。
「や、旅行。箱根。」
「えっっ今から？！」
こうも包み隠さず話していいの？？
「着いてっていー？」なんて藤ヶ谷さんはニヤニヤと冗談を言う。
「じゃねー」
横尾さんはメンバーに対してもわりとドライに対応してスタジオに背を向ける。
その背中を追いながらちらりと新しいマネージャーの彼女を見ると、目が合った。
すぐ目をそらしてしまってどんな表情をしてるかなんて見れなくて。
「横尾さん、あの」
「早くいこいこ、早く終わったし、ほら、ほら」
笑顔でポンと背中を押す横尾さん。
そんな彼に引っかかることも話せないまま。
私は言葉を飲み込んで車に乗り込むのだった。
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作者名：soda | 作成日時：2020年5月26日 2時
