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とうとう横尾さんと旅行に発つ日がきた。
私のわがままも聞いてくれて収録に連れて行ってくれる事に。
そのまま旅行先の箱根に向かえるように横尾さんの車を出して、マネージャーをしていた時のように私が運転をする。
「あーやっぱり落ち着く。」
横尾さんが助手席から幸せそうにこっちを見て微笑むから、私も嬉しくなってしまった。
「おはようございます」
「あれー！Aさん！」
横尾さんとスタジオ入りすると
久しぶりに会う番組のスタッフさん達が気づいてくれて、駆け寄ってきてくれた。
意外と歓迎ムードで密かに安心する。
「横尾さんの担当じゃなくなっちゃったんですよね。残念ですー」
「そうなんですよ、有給絶賛消化中です。」
そう言うと、羨ましい〜という声。
喋りながらモニター横に椅子を用意してくれて至れり尽くせりで、毎回収録をせっせと見にきていた甲斐があったなあとしみじみ思う。
「めっちゃ好かれてるじゃん」
準備を終えた横尾さんがモニター横に現れる。
キラキラの衣装を身に纏っていて、久しぶりのアイドルの横尾渉。
「まあ、毎回来てくれてたもんね」
「だって心配でしたから、主に歌唱」
意地悪に笑うと横尾さんも「うっさい」と私の頭をぺちんと軽く叩いた。
「うわ、Aさんだ！」
横尾さんも私も振り向くとキスマイのメンバーたち。
にやにやと笑いながら近づいてくる。
そうだった。最後に私が会ったのはライブの後に
横尾さんが私と付き合っている事を発表した時だ。
「今もう渉のマネージャーじゃないんですよね？アレ？」
なんて、藤ヶ谷さんはわざとらしく聞いてくる。
「同伴ですかあ」
なんて横尾さんの肩をがしっと掴む二階堂さん。
横尾さんはというと面倒くさそうに手を払って「しっしっ」と嫌な顔をする。
うーんやっぱりキスマイ好きだなあ、私。
まもなくして、収録が始まる。
まだ自分が担当になったまま、のような感覚でドキドキしながら見守る。
「あの」
そんな中話しかけてくる女性。
「横尾さんと付き合ってるんですか？」
スーツを着た、可愛らしい女性だった。
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作者名：soda | 作成日時：2020年5月26日 2時
