うつりゆくおもい『ぬら孫 ifストーリー』

第十話 ページ10

脇腹から血が滲んでいる

痛みはない

その傷口は一週間前、肝臓を喰われた時に付けられた

もう中身は再生しているが外の傷は中々塞がらない

そのままにしておけば一日寝れば治る

しかし治らない

その理由は、俺の癖にある

俺はその血が滲みだす傷口に思いっきり爪を突き立てた

痛みは……やっぱり感じない

湯とは違ったぬるりとした液体が手の間から溢れて流れ落ちた

足りない

こんなんじゃすぐに塞がる

更に抉るために力を込めようとした手を誰かに掴まれた

後ろから回された手を目で伝うと緑と黒の袖、続いて何故か痛みを堪えるような表情の男がいた

「もう……止めとけ」

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まるで表情を変えずに自分を傷つけるあいつを俺は知らない間に止めていた

自分の服が濡れるのも気にせず紅葉の手首を掴んだ

その手首に手錠がされた痕が残っており俺の推測が正しいことが嫌でも知れた

手首を離して血が溢れる傷口に手を当て傷を塞ぐと紅葉が俺に訊ねてくる

「……どうしてですか？俺なんて赤の他人でしょう？意味なんてないはずです」

そう聞いてくる紅葉は本当にわかっていないようだった

理由など当たり前のことだ

「あのな……自傷行為やってる奴を止めねえわけがねえだろうが」

そう言っても様子の変わらない紅葉の腕を掴んで無理やり立たせ脱衣場に持っていった

ますます聞き出したくなってきた

この馬鹿野郎にまつわること全部

こうなりゃ意地でも吐かせてやる

脱衣場のこいつの服が入っている場所まで引っ張ってくると腕を離して言い渡す

「絶対にテメェの素性を吐いてもらうからな。だからさっさと着替えろ」

そう俺に言われて黙って着替え始める紅葉を逃げないように確認しながら俺も濡れた袖を絞った

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何か展開が早くてすんません

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