8.心の中の変化 ページ8
前髪にかかる黎斗の吐息も、背中や胸や頬から伝わる黎斗の体温も、全てがAの胸の奥まで甘く締め付けるような感覚を伴って届く。
でもハウリングしない。
宿主の記憶とは違う。
A『花家大我の腕でなければハウリングしないのね、、』
ずっと胸につかえていた疑問は解けたのに、このまま黎斗に包まれていたくて、Aは目を閉じたままトクトクと心地良い黎斗の鼓動を聴いていた。
これで答えが出た。
宿主の記憶は花家大我に抱きしめられていた時の記憶だ。
自分は花家大我の恋人に感染し消滅させたに違いない。
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Aは廊下の突き当たりの大きなガラス窓に映る無表情の自分を見た。
無感情の自分の中で少しずつ何かが変化する。
黎斗に抱きしめられた時のあの身体と心が包まれる感触。胸の奥に芽吹くあの暖かさ。
きっと宿主は花家大我に包まれて幸せだったに違いない。それを奪ったのは自分。
以前ならバグスターが人間態になるための通過点でしか無いと気に留めなかった事なのに、黎斗に触れて変化を始めたAの心は鈍い痛みを感じる。
A『罪悪感?、、、そんなものバグスターである私に必要ないわ』
ガラス窓に映る自分の顔を自ら嘲笑うとまたヒールを鳴らして社長室へと向かい、ノックをする。
「はいはーい」
A「??」
妙に明るい声に首を傾げながらドアを開けると黎斗の代わりに九条貴利矢がいた。
貴利矢は卓球台に腰掛けて丸いサングラスをクルクルと回して笑っていた。
A「九条先生、ここで何を?」
貴利矢「社長さんを待たせて貰ってるんだけどさ、ちょうどいい。美人秘書のAちゃんにも聞きたいことがあるんだよなぁ」
ぴょんと卓球台から飛び降りた貴利矢はニヤニヤ笑いながらAの前に来た。
貴利矢「Aちゃんさ、黒いエグゼイドの正体知らない?」
A「こちらでも調査しているところです」
貴利矢「でもさ、ガシャットもゲーマードライバーもおたくの社長さんしか作れないモノなんだろ?だからさ、、、」
A「何が仰りたいのですか?」
貴利矢「自分はバグスターウイルスが生まれた理由を突き止めたいだけだ」
A「残念ながらそれは社長もまだ解明出来ておりません」
貴利矢「じゃあ質問変えようか。Aちゃん、あんた本当は何考えてる?」
その質問にAは思わず貴利矢の目の奥を見た。
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大崎舞子(プロフ) - kojiさん» 最後までお読みいただきありがとうございます!大好きだなんて、、うれしいです!!大人セクシー路線の黎斗とグラファイト、お楽しみいただけて良かったです! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - Hyuiさん» 皆さんにご理解頂けるか謎過ぎたグラファイトとの関係ですが、ホッとしました! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - moon791さん» いつもコメントありがとうございます!とても励みになりました^_^書けば書くほどグラファイトを好きになって大変でした爆 またどうぞよろしくお願いします! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - 双羅さん» 最後までお読みいただきありがとうございました!こんな夢主ちゃんを受け入れてもらえるかちょっと不安だったのですが、ありがとうございます!貴利矢も大好きなので頑張ってみます! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
koji(プロフ) - お疲れ様でした!相変わらずの素敵な神とグラファイトにやられます。いつも楽しみで仕方ないです!大好きです!爆 又楽しみにしてます! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 91fefba221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おおさきまいこ | 作成日時:2018年5月17日 17時