『バグスターエモーション』

34.ニコを救急搬送 ページ34

すぐに救急車が到着した。
慌ただしく救急隊がニコの周りに集まりボードに乗せる。


それをAはおかしな感覚で見た。

西馬ニコなど死んでしまっても別に構わない。

それなのに自分の奥底から身体を突き動かすような衝動が湧き上がり膨れ上がる。


ニコの側で必死の顔で叫ぶ大我。
人形のように動かないニコ。


ゲンムとスナイプに散々撃たれてて立っているのがやっとのAの身体を内側から何かが揺らす。


揺れは大きくなり、脳内に声が響いた。




『あの子を助けなきゃ！！！！』




そこからはAが自分の意思で動いたのか、宿主の記憶データで動いたのかはよく分からない。


驚く大我と一緒に救急車に乗り込み、聖大病院に向かいながら救急外来と連絡を取っていた救急隊から携帯をもぎ取った。


A「患者は西馬ニコ、10代後半女性、聖大受診歴は不明。高エネルギー外傷で到着時、CPAOAの可能性あり。早急に対応出来るようID作っといて！」



救急隊「血圧測れません！」


その声にモニターを見ると心電図は2.3発期外収縮を起こした後、フラットになった。


救急隊「心停止です！！」


大我「俺が心マする！誰か人工換気しろ！」


救急隊「はい！！」


A「私はルート取る！ルート取れたら挿管するから準備しといて！」



救急車内でニコの蘇生が始まり、聖大に到着するとなだれ込むように救急処置室へ移動した。


A「モニター付けて！採血はクロスマッチも含めてフルオーダー！それ終わったらポータブルのエコーとCT室空いてるか確認して！」


救急外来スタッフは一瞬面食らった。
患者の上に跨り必死で心マしているのは医師免許を剥奪されたかつての天才放射線科医。
そして人工換気をしながら支持を飛ばしているのは全く知らない怪我をした女。



永夢「え？Aさん？！何で？！」


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ニコは腹腔内に大量出血と臓器損傷がありすぐにオペが必要だった。



飛彩「近くの工場で爆発があってここで何人もオペしてる。外科医も麻酔科医もいない！」



大我「くそっ！！早く止血しないと！他の病院にすぐ転送しろ！」



飛彩「どこも同じだ！爆発事故の対応でパンクしてる！」



A「この4人でやれば？」



永夢「何を言ってるんですか！！」



A「麻酔とオペで4人もいたら充分だわ」



表情を変えずにさらりと言うAに永夢達は顔を見合わせた。




大我「お前、、、一体誰だ？」

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