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19.堕ちるかどうか ページ19

雨に濡れた髪の下から、妖しくて美しい顔に女を惑わす色を浮かべて黎斗はAを見ていた。


もう薄暗い社長室には外の雨の音が静かに聞こえ、Aと黎斗の呼吸音がそれに重なっていく。


黎斗の瞳の奥の欲望と狂気の色からAは目をそらせない。




黎斗「今夜こそ君を手に入れたい」



ゆっくりと黎斗の身体が重なる。
雨に濡れて冷えた黎斗の身体と唇は恐ろしく危険な刺激としてAの脳内に届く。

黎斗の冷たい唇がAの体温を欲するように何度も何度も深く触れて絡み合う。




黎斗「愛してる」



そう言って熱く見つめる黎斗の瞳。


この男は狂ってる。
九条貴利矢を消したばかりなのに、甘い声で愛を囁けるなんて。


だけど私はバグスター。


この男が犯した罪なんて私にもどうでも良い。
それよりも目の前の黎斗に胸の鼓動がうるさくて息が苦しくなる。




黎斗「私のものになれ」




私が駒である貴方のものになるはずなんかない。



だけど知りたい。


愛するとは何だろう。


触れる事も、見る事も、セーブする事もできないのに、花家大我も鏡飛彩も5年以上その心を縛られたまま。

そして目の前の黎斗でさえそうだ。
その余りある才能で欲しいものは何でも手に入れられると思うのに、なぜ愛まで欲しいと思うのだろう。



知りたい。

誰かを愛する気持ちを。

誰かに愛されて満たされるという気持ちを。



それはもうAの目の前にあって、ほんの少しだけプライドを捨てれば落ちていける。



檀黎斗の事を好きだと気付いた時からずっと顔を背けて来た。必死で心に鍵をかけて見ないふりをして来た。

利用するはずの人間に恋をした自分がどうしても許せなかった。


でも、心は完全に捕まえられて、、、Aはそっと黎斗の濡れた前髪に指で触れてみた。


それだけで苦しくなる程の愛しさが胸を締め付ける。



黎斗「A、君は私のものだ」



また黎斗に抱きしめられて唇が重なる。ねっとりと絡む黎斗の唇はもう熱くなっていて、触れられる度にAの息が甘く漏れる。

冷えた黎斗の髪と身体はAの全てを求めてすぐに熱を帯びる。目を閉じれば思考回路からクロニクルも計画も全て飛び、全ての感覚も思考も黎斗に支配される心地よさで真っ白に痺れてしまった。


愛される心地よさ。

求められる甘い痛み。


黎斗の唇も指も身体も全てがAをどこまでも快楽の深淵へ落とし、囁く黎斗の言葉にさえ身をよじる程に感じていた。

20.転機→←18.あの雨の夜に



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大崎舞子(プロフ) - kojiさん» 最後までお読みいただきありがとうございます!大好きだなんて、、うれしいです!!大人セクシー路線の黎斗とグラファイト、お楽しみいただけて良かったです! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - Hyuiさん» 皆さんにご理解頂けるか謎過ぎたグラファイトとの関係ですが、ホッとしました! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - moon791さん» いつもコメントありがとうございます!とても励みになりました^_^書けば書くほどグラファイトを好きになって大変でした爆 またどうぞよろしくお願いします! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
大崎舞子(プロフ) - 双羅さん» 最後までお読みいただきありがとうございました!こんな夢主ちゃんを受け入れてもらえるかちょっと不安だったのですが、ありがとうございます!貴利矢も大好きなので頑張ってみます! (2018年6月12日 21時) (レス) id: 82a79b3fc1 (このIDを非表示/違反報告)
koji(プロフ) - お疲れ様でした!相変わらずの素敵な神とグラファイトにやられます。いつも楽しみで仕方ないです!大好きです!爆 又楽しみにしてます! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 91fefba221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おおさきまいこ | 作成日時:2018年5月17日 17時

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