・ ページ4
楽譜ファイルを捲ると、今までの沢山の思い出が蘇ってくる。
これは一年生の時、隣の先輩の吹くソロがすっごくカッコよくて憧れてたな、とか。
これは初めてソロを任されたやつだな、とか。
——これは全国で吹いて金賞取ったな、とか。
本当にいろいろあったなぁ……
楽譜を見ながらしみじみする私を不審に思ってか、同じパートの三年生、あみが声を掛けてきた。
「Aー、パート振り、決めよ」
「あ、そういやまだだったね。はーい、みんな集合!まずは希望取りまーす」
「ふふ、楽しみだなぁ〜♪」
「A、結局ソロ全部後輩に譲ったんだ」
「うん。まぁでも、それはあの子たちに期待してるからだけどね?」
「ふぅん……やっぱ、Aには敵わないね〜」
「え、何が」
「そういう、“いい先輩”なとこ。……なかなか真似できないよ」
そういうものなのかなぁ。
私は弟から期待の後輩のこととか聞いてたし、そういう子にはたくさんチャンスがあるべきだと考えてきた。
だから、私なりにチャンスをたくさん作って与えてるだけ。
まぁ、私たち双子でやり方は全く違ってたみたいだけど。
「でもさ、」
「ん?」
「私、アンコールだけは……ソロ、したい」
「……」
「やっぱ私、ずるい先輩だよ」
「いいんじゃない?Aなら、誰も文句言わないでしょ」
「そっかなぁ……って、まだソロあるって決まったわけじゃないけどね?」
「あははっ……まぁいいや、Aの気持ちは分かったよ、頑張ろうね」
「うん!」
全六曲、プラスアンコール二曲。
今手元にある六曲の楽譜のパート振りを眺める。
そのどれもに、『1st Trombone』の文字が踊っている。
そう、私の担当楽器はトロンボーンだ。
基本的に三つのパートに分かれるトロンボーンで、1stは高音域を担当する。
ちょくちょくソロもあり、大抵上手い子がこの譜面を手にする。
——これは、信頼と期待の表れ。
湧き上がる高揚感を抱えて、私は楽器を構える。
そして、六曲のうちのひとつの曲のファンファーレ部分を高らかに吹き鳴らした。
32人がお気に入り
「あんスタ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ホッチキス(プロフ) - ゆゆゆさん» 本当にラッキー(^_−)−☆ですね!これからも応援しています! (2022年5月25日 21時) (レス) id: b36c03acb0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - ホッチキスさん» ありがとうございます、最高とかめちゃくちゃ嬉しいです…!全然アイドル出てこなかったのに推しが出ていたとはなんとラッキー!!(?)私もニヤニヤが止まりません。こちらにもコメントして下さりありがとうございました!!! (2022年5月24日 18時) (レス) id: 6c5dc33c86 (このIDを非表示/違反報告)
ホッチキス(プロフ) - 双子設定最高でした!すごく面白かったです!私の推しの渉も出番をいただいて、、、ニヤニヤがとまらないっす! (2022年5月24日 18時) (レス) @page15 id: b36c03acb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:箸レーゼ | 作成日時:2022年5月4日 18時