教えてあげない/巴日和 ページ17
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___目が眩むほど太陽が眩しい。
あの夏の日は嫌に晴天で。
雲一つない澄み渡った青い空が綺麗であったが、流れる曲に負けじと蝉がやけに煩く鳴いていたのが記憶に新しくハッキリと覚えている。
そんな炎天下の中、笑顔を忘れず楽しげに歌って踊る彼の姿を思い出した。“あの日„とは、夢ノ咲学院と合同で開催したサマーライブのことである。
美しいフレンチグリーンの髪をなびかせながらファンに笑顔という夢を振りまくアイドルの彼。名を巴日和。我が玲明学園における最も人気絶頂中の高校生アイドル。Eveのプロデューサーになってから、毎日この人に振り回されてばかりだ。…嫌なわけではないけど。
今もほら、こうして昼休みガーデンテラスに呼び出され、紅茶を淹れさせられている始末。良いのだろうか、こんな優雅にお茶してて。クラスメイトの友人様とコミュニケーションでも取っていらっしゃれば良いのに…嫌味を聞かされるわたしの身にもなってほしいものです…い、嫌なわけではないです、別に
「それでね…ねぇちゃんと聞いてる?」
「あぁ…すみません、気が遠くなっていました」
「僕の話がつまらないっていうんだね?」
「そう聞こえたのなら謝罪します」
「まあいいけどね。でね、僕たちまだ高校生なのに、こーんなに仕事があるなんておかしいよね?」
それは貴方が選んだ道ですが…と思わず突っ込みそうになるのを抑え、そうですねと返す。この方もどうせ分かっている。
「少しくらい普通の高校生生活を送らせて欲しいね」
ま、これもひとつの青春だとは思うけどね!
巴先輩は次に決まったイベントの資料を見つめながら椅子にもたれかかる。あぁ忙しいといったジェスチャーで伸びをした。
「青春の定義とは?」
巴先輩の言う青春が何かを私は問う。純粋にただ単純にこの方が思い描く
でも巴先輩は、一瞬こっちを見るだけですぐに目を逸らしてしまった。
「青春、ね…」
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作者名:enst青春合作 x他9人 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年5月20日 21時