検索窓
今日:5 hit、昨日:9 hit、合計:9,933 hit

教えてあげない/巴日和 ページ17

.


___目が眩むほど太陽が眩しい。


あの夏の日は嫌に晴天で。

雲一つない澄み渡った青い空が綺麗であったが、流れる曲に負けじと蝉がやけに煩く鳴いていたのが記憶に新しくハッキリと覚えている。

そんな炎天下の中、笑顔を忘れず楽しげに歌って踊る彼の姿を思い出した。“あの日„とは、夢ノ咲学院と合同で開催したサマーライブのことである。

美しいフレンチグリーンの髪をなびかせながらファンに笑顔という夢を振りまくアイドルの彼。名を巴日和。我が玲明学園における最も人気絶頂中の高校生アイドル。Eveのプロデューサーになってから、毎日この人に振り回されてばかりだ。…嫌なわけではないけど。

今もほら、こうして昼休みガーデンテラスに呼び出され、紅茶を淹れさせられている始末。良いのだろうか、こんな優雅にお茶してて。クラスメイトの友人様とコミュニケーションでも取っていらっしゃれば良いのに…嫌味を聞かされるわたしの身にもなってほしいものです…い、嫌なわけではないです、別に

「それでね…ねぇちゃんと聞いてる?」
「あぁ…すみません、気が遠くなっていました」
「僕の話がつまらないっていうんだね?」
「そう聞こえたのなら謝罪します」
「まあいいけどね。でね、僕たちまだ高校生なのに、こーんなに仕事があるなんておかしいよね?」

それは貴方が選んだ道ですが…と思わず突っ込みそうになるのを抑え、そうですねと返す。この方もどうせ分かっている。

「少しくらい普通の高校生生活を送らせて欲しいね」


ま、これもひとつの青春だとは思うけどね!


巴先輩は次に決まったイベントの資料を見つめながら椅子にもたれかかる。あぁ忙しいといったジェスチャーで伸びをした。

「青春の定義とは?」

巴先輩の言う青春が何かを私は問う。純粋にただ単純にこの方が思い描くいっとき(一時)の野望を聞いてみたかった。思考が一番分かりやすそうで本当は未知なる彼は、いったいどんな野望を抱いているのだろうかと気になった。


でも巴先輩は、一瞬こっちを見るだけですぐに目を逸らしてしまった。




「青春、ね…」

▽→←▽



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
19人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:enst青春合作 x他9人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年5月20日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。