プロローグは煌びやかに【１】 ページ1
その夜、天祥院英智は生徒会室に残っていた。
横暴な生徒会長様が碌に仕事をしないため、生徒会役員の仕事が大量に溜まっているから…という訳では無い。ただなんとなく、通常の生徒みたいに居残りをしてみたかっただけだった。
特に大量の書類が乱雑に乗せられている生徒会長の机の端をそっと撫でる。彼がもう少し仕事をして、皆を統率してくれるような
…もしも僕が生徒会長ならばこのようなままにはしないのに。
怒りで拳に力が入る。けれども英智はトップに立つような柄ではない。数人ならまだしも、この学院の大人数を抱えるというのは経験したことがない。この学院での英智ははどちらかというと影が薄い方でもある。
行動力はあろうともそれを執行する力はない。
だからこうして、ストレスが更に溜まりそうなストレス発散をする。
はあ、と大きくため息をつくと、開けられるはずのない扉が音を立てて開かれた。この学院にはもう他に人はいないはずなのに。大きく目を開いてそちらに目を向けると、そこには見慣れた、けれども恋しく愛らしい彼女の姿があった。
「…驚いた。英智がこんな時間まで残ってるなんて」
「…A？どうして…」
「私は忘れ物を取りによ。
職員室も真っ暗なのに学校があいてるものだから吃驚しちゃった。
英智は？こんな時間まで残っていたら、敬人に怒られちゃうんじゃない？」
「…ふふ、うん。そうだね。
でも僕は頭がいいから、使いの者には誤魔化すように言っておいたし、僕本人は生徒会長の机の下に隠れていたから見つからなかったよ」
「そこまでして残りたかったの？英智って結構子供っぽいところあるわよね」
くすくすと笑う彼女は普段よりも幼く見えて、可愛らしい。勿論、いつも綺麗だけれどね。
彼女の名前は
…そして、僕の想い人でもある。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NaN | 作成日時：2018年2月17日 18時
