準備期間/4 ページ10
「じゃあ、こうしたらどう?」
ふと、凛月先輩が閃いたように人差し指を立てた。
「エッちゃんに証拠だけを渡しといて、全て分からせておいた上で、ニナの周りを見張ってもらう____つまり、警戒しておいてもらうの。そしたら、迂闊な行動は出来ないでしょ?」
「……頭いいですねリッツ先輩!?」
「そう?ふふ、それほどでもないけど〜…♪」
まんざらでもなさそうに、ふふふと笑ったリッツ先輩。あ、でも会長に頼るのはちょっとなんかアレかもしれない。私としては一人で生徒会室に乗り込むのなんて、海賊船にゴボウ一本で乗り込むのと同じようなもんだしね。
「で、もしAが一人でエッちゃんのとこにいくのが怖いっていうなら俺たちも後から行くから」
心を読んだかのようなタイミングで、凛月先輩は言う。ありがとうございます、と言おうとしたら、彼は続けて「それに、Aだけじゃ上手くエッちゃんに説明できるか不安だし」と付け足した。一言余計すぎる。
「学院でちゃんこ鍋食べてたら没収してきますし、確かに生徒会は怖いですけどっ!でも説明が下手ってことはないです!」
「でもAこの前、山椒魚のこと「こんにゃくの生物版」とか言ってたじゃん」
「あれはこんにゃくの生物版じゃないですか!」
いや意味分かんないし、と呆れたように言いながらも、凛月先輩はちょっと微笑んだ。その笑顔をみて、私ははっとする。それから、彼に詰め寄った。
「そうだ、リッツ先輩!私、わかったんです!」
間近で凛月先輩の赤い瞳が見開かれる。「わかったって、何が」「リッツ先輩が怒った理由です」怒った、というのは、私が閉じ込められたときの話だ。それだけでなんの話か分かったのか、へえ、と彼は瞳を細めた。
「リッツ先輩は心配してくれたんですよね。セッちゃん先輩から聞きました。心配してくれて、ありがとうございます」
そう言って頭を下げると、リッツ先輩は驚いた顔をした。それから、すうっと柔らかい表情になる。
「……別に、お礼を言われるようなことじゃないよ。でもね、覚えていてほしい。俺たちは、Aのことが大好きだよ。だから心配もするし、怒ったりもする。わがままかもしれないけど、俺たちはAを大切に思ってるからこそA自身にも危機感を持ってほしかったんだ。……なんてね。あと少し、頑張ろ」
最後に微笑んだ彼に、私も少しだけ笑い返した。
「はい!」
___そして、あっという間に星雨祭前日____。
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べベンべエエェェ - また戻ってきました!この作品がお気に入りになってどの小説の設定も星川、というのを使わせて読ませてもらってます!ありがとうございます! (2022年6月9日 23時) (レス) @page29 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - またニナが足を洗って帰って来てほしいかなと思います。続編が出来たらとっっっっぅても嬉しいです (2021年8月4日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 面白すぎて2日で読み終わりました……。(続き気になりすぎて2日とも5:00くらいまで寝れなかった)寝る前に読んだの後悔するくらいおもしろかったです…! (2021年7月29日 3時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
髪様 - ゆうさんと同意見です,完璧ですわあ、、、、 (2020年5月8日 11時) (レス) id: a311e75dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - なんだろう、なんて言えばいいかわかんないんですけど...完璧な小説でした (2020年4月25日 18時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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