準備期間/2 ページ8
「失礼します」
生徒会室の扉をノックすると、間も無く中から「入っていいよ」と穏やかな声がする。生徒会室恐怖症の私にとっては、その声さえも悪魔の囁きと同等に怖いんだけど。
扉を開けると、当然のごとく会長が優雅に椅子に腰掛けていた。くっ、窓から差し込む光がいい感じに会長を照らしてる……!
「企画書、ちゃんと考えてきたんだ」
さも驚いたように、彼は言う。イラっとしたので、思いっきり机に企画書を置いて踵を返した。
「そういえば、君に言っても仕方ないことだけど」
突然きりだされた話に、今まさにドアノブに手をかけようとしていた私はぴたりと動きを止める。
「君と問題を起こして、活動自粛になっていたknightsについて。『星夜祭』は特別なドリフェスだからね、特別に活動自粛を取り消すことにしたよ」
……えっ?
思わず振り向くと、何故か会長は笑みを深くした。本当に、なにを考えているかわからない。
「月永くんにはもう知らせてある。もちろん参加するようだよ。とは言え、もう君には関係ないだろうけど__」
彼が言い終わるより早く、私は生徒会室を飛び出した。
だから今日、瀬名先輩はニナと話していたんだ。ライブの打ち合わせをするために。
knightsがライブに出られるのは嬉しいけれど、またニナが何かしてくると思うと……。
「……でも、リーダーさんが決めたんだよね」
それは何かあっても、それに立ち向かうと決めている証拠。それに、この前のリーダーさんとの話では星夜祭の前に全てを解決するって約束で……。
そこで、頭に一つの疑問が浮かんだ。
もし、星夜祭の前に全てを打ち明けたとして____ニナの所業が明らかになって、学院中がパニックになったとしたら。ライブどころじゃない、ドリフェスも中止になるかもしれない。
じゃあ、ドリフェスが終わった後にした方が良いのかもしれない。ニナは性格上、プロデュースは完璧にこなすはずだ。ただ、自身の王国を作ろうとして、アイドルを利用することはあるけれど。ドリフェス自体に、問題はないんじゃ?
なんて、ぐるぐる考えてたら分からなくなってきた。考えすぎた疲れからか、体が傾く。まるで足を何かに引っ張られてるような。
「……あれ?」
足元に目をやると。半開きになった近くの扉から、白い手が伸びて私の足を掴んでいた。あまりの驚きに声も出せずにいれば、今度は別の手が私の手首を掴む。
そのまま、その両手は物凄い力で私をひっぱり、扉の中へ引きずりこんだ。
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べベンべエエェェ - また戻ってきました!この作品がお気に入りになってどの小説の設定も星川、というのを使わせて読ませてもらってます!ありがとうございます! (2022年6月9日 23時) (レス) @page29 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - またニナが足を洗って帰って来てほしいかなと思います。続編が出来たらとっっっっぅても嬉しいです (2021年8月4日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 面白すぎて2日で読み終わりました……。(続き気になりすぎて2日とも5:00くらいまで寝れなかった)寝る前に読んだの後悔するくらいおもしろかったです…! (2021年7月29日 3時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
髪様 - ゆうさんと同意見です,完璧ですわあ、、、、 (2020年5月8日 11時) (レス) id: a311e75dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - なんだろう、なんて言えばいいかわかんないんですけど...完璧な小説でした (2020年4月25日 18時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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