把捉/1 ページ5
「期限までに企画書を提出かぁ……」
その日の放課後、私は廊下を歩きながら頭を悩ませていた。
ただでさえ、どうすればニナに証拠のことがバレないように立ち回れるのかとか、考えなくちゃいけないことは沢山あるのに！
「まあ、そんなこと行ってられないけど！」
私がいくら悩もうが、与えられた仕事をきちんとこなしてこそプロデューサー。あんず先輩のようなスペシャルクールな先輩になるには、それことぐらい乗り越えなくちゃならない！
だとしたら、まず何をしなくちゃいけないか……。そこまで考えて、私ははっとした。
そうだ、私には会いにいかなくちゃいけない人がいたんだ！
＊
「＿＿こっちです、こっち！……音太郎さん！」
彼の名前を小声で呼ぶと、彼はバッと振り返った。
＿＿＿＿某13日の金曜日風のホラーな仮面に、はためく黒のマント。音太郎さんは以前、私が生徒たちに暴力を振るわれそうになったときに助けてくれた、ヒーローみたいな人だ。見た目はちょっとアレだけど。
彼は「証拠が集まったら手助けをするから教えてくれ」と言った。そのため、私は報告に来たのだ。
「A」
私の名前を呼んだ彼は、周りを気にしながら近づいてくる。どうやら学院外の人間のかれは、見つかるとやばいらしい。見た目も素性も明らかに怪しいけど、この人は悪い人じゃないって確信があった。だって、話していたら前から知り合いだったような気さえしてくるもん。
「……証拠は集まったのか？」
「はい、おかげさまで！」
そうか、と音太郎さんは頷く。続けて、「何か困ったことはないか？」と優しい声を発した。優しい声のわりには仮面がカタカタ揺れるのがやっぱり怖すぎるよね。どこで手に入れたの、そのチェーンソー持って追いかけてきそうな仮面……？
まあ、それはともかく。実は、と私は口を開いた。
「証拠を届けるときに、敵に邪魔されないかが不安で。バレないようにしたいんですけど……」
何に気をつければいいか、どうすればいいか。それが知れたら充分だったのだけれど、音太郎さんは頼もしいことに「俺に任せてくれ」と即答した。
「俺が相手を引きつける、その間に証拠を持っていけ。いつでもいい」
「えっ、そんなことできるんですか……！？」
「心配はいらない。おまえを助けたいんだ」
力強いその言葉が嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。素敵な仲間が沢山いて良かったな、と呟いた言葉を、音太郎さんは黙って聞いていた。
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べベンべエエェェ - また戻ってきました！この作品がお気に入りになってどの小説の設定も星川、というのを使わせて読ませてもらってます！ありがとうございます！ (2022年6月9日 23時) (
レス) @page29 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - またニナが足を洗って帰って来てほしいかなと思います。続編が出来たらとっっっっぅても嬉しいです (2021年8月4日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 面白すぎて2日で読み終わりました……。（続き気になりすぎて2日とも5:00くらいまで寝れなかった）寝る前に読んだの後悔するくらいおもしろかったです…！ (2021年7月29日 3時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
髪様 - ゆうさんと同意見です，完璧ですわあ、、、、 (2020年5月8日 11時) (レス) id: a311e75dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - なんだろう、なんて言えばいいかわかんないんですけど...完璧な小説でした (2020年4月25日 18時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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