東雲/1 ページ39
その後。衣装を盗んだのがニナだったと知った仁兎先輩は彼女を問いただし、場所を聞くなりすぐ飛び出していった。残ったあんず先輩と衣更先輩は、会長に頼まれニナを別室に連れていった。
そしてあっという間に、場は二人だけになった。
……待って、何もあんず先輩まで連れていかなくても。最近言ってないけど私生徒会恐怖症(笑)なんだから二人きりとかやだよ。
「Aちゃん」
名前を呼ばれ、びくりと反応する。あははと楽しげに笑った会長は、先程とは違い心底楽しそうだった。
「な、なんですか」
遠くから聞こえる歓声をBGMに、とりあえず聞き返す。すると、会長は安心させるような優しい口調で言った。
「君たちが集めた証拠は、紛れもなく役に立つよ。だから安心してね」
「……!」
どうやら、ちゃんと証拠は届いていたらしい。はっとしてお礼を述べると、彼はにこりと笑った。
「お礼を言うのはこちらだよ。素敵なものを見せてくれてありがとう」
「え、どういうことですか?」
「ふふ……いいから、はやく行ってあげなさい」
はぐらかされたと思えば、そんなことを言う会長。やっぱりこの人よくわからない。
「行くってどこに、」
瞬間。一際大きな歓声が上がった。
「ほら。丁度、ライブが終わったみたいだ」
ステージの方に視線をやり、それから彼は私を見て再び微笑む。
「____さあ、行ってあげて。君を望む、騎士の元へ」
その言葉を聞いた瞬間、私は駆け出した。
______
___
数日後。
ライブは滞りなく終了し、knightsはあの後見事fineに勝利した。会長が不在だったのが幸運だったのか、皆の調子が良かったのかは分からないけれど、とにかく勝ちは勝ちだ。
舞台袖に戻ってくる皆にぴょんぴょん跳ねながら飛びつくと、張り詰めた表情をしていた皆が一瞬で目を丸くしたのを覚えている。
今までどこにいたの、衣装は見つかったんですか、というかなんでここに、アイツに見つからなかった____?皆は口々に質問を浴びせてきたけれど、月永先輩だけは私が来た意味がわかったらしい。
よくやったな、と一言だけ、笑顔でそう言ってくれた。
結局knightsは素晴らしいことに決勝戦まで進んだけれど、そこでTrick starに敗れてしまった。それでも、そこまでいけたのだ。悔しさはあるけど、決勝戦は間近で見られたから私は満足だし。
そして______ついに、ニナのことは明るみになった。
2090人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
べベンべエエェェ - また戻ってきました!この作品がお気に入りになってどの小説の設定も星川、というのを使わせて読ませてもらってます!ありがとうございます! (2022年6月9日 23時) (レス) @page29 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - またニナが足を洗って帰って来てほしいかなと思います。続編が出来たらとっっっっぅても嬉しいです (2021年8月4日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 面白すぎて2日で読み終わりました……。(続き気になりすぎて2日とも5:00くらいまで寝れなかった)寝る前に読んだの後悔するくらいおもしろかったです…! (2021年7月29日 3時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
髪様 - ゆうさんと同意見です,完璧ですわあ、、、、 (2020年5月8日 11時) (レス) id: a311e75dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - なんだろう、なんて言えばいいかわかんないんですけど...完璧な小説でした (2020年4月25日 18時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ