ざまあみろよ/4 ページ28
彼は走り出した。驚く間もない、昼間の彼とは思えないほどのスピードだ。されど、やはり昼間。無理があるのか、男たちは巻けない。
次の角を曲がった先に見えたのは、行き止まりだった。
「行き止まりですっ」
息も絶え絶えにそう叫ぶ。後ろから迫る声は近い。行き止まりの壁には窓がひとつ。人は通れるぐらいの大きさだが、ここは4階。飛び降りて無傷でいられるほどの場じゃない。わたるん先輩なら分からないけど。
「追い詰めたぞ」
「そっちも、大人しくしてろよ。暴力ざたになって最終的に痛い目を見るのはてめえだからな」
ニヤニヤと煽りながら歩み寄る彼らは、まるで勝ったような表情をしていた。
れー先輩、と隣の彼の名を呼ぶ。実際、全く状況は把握出来ていないけど、多分この人たちからは助けようとしてくれてる？でも、何で。
「……A、しっかり我輩に掴まっておるんじゃぞ」
その言葉を理解する暇も与えてくれないまま、彼は後ろ手で窓を開け放った。ごう、と風が舞い込んできて髪を揺らす。
まさか。男たちも息を飲んだ。そんな、まさか……。
予想通り、私を抱きかかえた彼は、窓枠に足をかける。それから、綺麗に……本当に妖艶に、美しく笑った。
「ざまあみろよ」
たん、と窓枠が思いっきり蹴られる。見えたのは、驚愕に顔を歪める男たちと、遥か彼方に消え去る廊下。
次の瞬間、引きずられるような浮遊感に襲われて、私はぎゅっと目を閉じた。
＿＿＿＿強い痛みを待ち構えていた私を迎えたのは、ドサッという軽い衝撃だった。恐る恐る瞳を開けば、私を乗せたまま仰向けに倒れている朔間先輩。
「……大丈夫じゃよ。ここは植え込みじゃし、大した怪我はないぞ」
私が何か言う前に、彼はそう言った。……それが分かっていたから、飛び降りたのか。
「それよりよく聞いておくれ、A。……お主に色々、謝らないといけないことがある。けれどそれは後じゃ。逆先くんから話は聞いた、あの嬢ちゃんに見つからないうちに早くknightsの元に言ってやっておくれ」
我輩は次にライブじゃから、お供は出来ないがのう＿＿そう言いながら、私を立たせた彼は続ける。
「安心せい、彼奴らは我輩たちが諦めて飛び降りたと見て、慄いて逃げたはずじゃ。もし追いかけてきていても、わんこらに足止めするようにいってある。……ほら、早く」
「……ありがとうございます！」
私の言葉に、彼は優しく微笑み返してくれた。
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べベンべエエェェ - また戻ってきました！この作品がお気に入りになってどの小説の設定も星川、というのを使わせて読ませてもらってます！ありがとうございます！ (2022年6月9日 23時) (
レス) @page29 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - またニナが足を洗って帰って来てほしいかなと思います。続編が出来たらとっっっっぅても嬉しいです (2021年8月4日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 面白すぎて2日で読み終わりました……。（続き気になりすぎて2日とも5:00くらいまで寝れなかった）寝る前に読んだの後悔するくらいおもしろかったです…！ (2021年7月29日 3時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
髪様 - ゆうさんと同意見です，完璧ですわあ、、、、 (2020年5月8日 11時) (レス) id: a311e75dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - なんだろう、なんて言えばいいかわかんないんですけど...完璧な小説でした (2020年4月25日 18時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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