叛逆の騎士/2(side無し) ページ21
彼____英智は、生徒会室で案外すぐに見つかった。
「何の用だい?今は星夜祭本番中だよ、最終調整をする時間じゃないの?」
そう言って英智は、目の前に立つ「knights」たちに向かって不思議そうに首を傾げた。泉が後から考えれば、そう言う英智こそここでのんびり座っていること自体不思議だったのだけど。その時からすでにお見通しだったのかもしれない。
「おまえに話があって来たんだ」
レオがそう切り出すと、英智は微かにふぅんと言って頷いた。「話って?」一応聞いてくれるらしい彼の様子に、今度は司が口を開く。
「Aさんと、ニナさんの話です。今回は、Aさんが冤罪だということを証明しに参りました」
「冤罪?何で君たちがそんなことを言いに来るの?君たちはAと縁を切ったんじゃないのかい?」
緊張に支配された室内。開いていた窓の風を受け、さわ、とカーテンを揺らしながら風が入る。彼の疑問はもっともだろう。だから、凛月はその質問を予想し、答えだって考えていた。
「作戦のうちだっただけ。エッちゃんはもしかしたら薄々感づいてたかもだけど、まあそれは今は良いでしょ?」
全部終わったら教えるから、と続けた凛月に、英智は暫しの沈黙を返す。「……そうだね。なら、後でまた教えてもらおうか」そう言った後、彼は証明って、と全員の顔を見渡した。
「あの子が無罪だという証拠ってことだよね?」
「ええ、そうよ。まずはこれを見て頂戴」
最初に嵐が取り出したのは、端末だった。それを英智の前のテーブルに置き、彼は一つの動画を再生させる。
『____学院は楽しい?』
それは、なずなとAが協力して撮った動画だった。Aがなずなから受け取った動画のデータを、嵐の端末にコピーしたものだ。
再生されている動画を、英智は顔色一つ変えずに見ている。やがて最後まで再生されたけれど、その表情は変わらなかった。
「……これが証拠?」
「まだあります」
次に前に出たのは司。ぎゅっと拳を握りしめて、彼は口を開いた。
「三年生のレッスン中に、機材が倒れてきた事件。これはAさんの仕業だと言われていましたが、その時間帯彼女と私はずっと一緒におりました。故に、彼女にそんなことが出来る隙はありません」
「へえ。なら、彼女の目撃情報はどういうこと?」
一瞬。一瞬だけ、レオには英智が楽しそうに笑ったように見えた。
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べベンべエエェェ - また戻ってきました!この作品がお気に入りになってどの小説の設定も星川、というのを使わせて読ませてもらってます!ありがとうございます! (2022年6月9日 23時) (レス) @page29 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - またニナが足を洗って帰って来てほしいかなと思います。続編が出来たらとっっっっぅても嬉しいです (2021年8月4日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
CloveR(プロフ) - 面白すぎて2日で読み終わりました……。(続き気になりすぎて2日とも5:00くらいまで寝れなかった)寝る前に読んだの後悔するくらいおもしろかったです…! (2021年7月29日 3時) (レス) id: f7412586d4 (このIDを非表示/違反報告)
髪様 - ゆうさんと同意見です,完璧ですわあ、、、、 (2020年5月8日 11時) (レス) id: a311e75dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - なんだろう、なんて言えばいいかわかんないんですけど...完璧な小説でした (2020年4月25日 18時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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