HERO/4(sideアドニス) ページ46
「……Aは、悪者ではなかったのだな。朔間先輩の言った通りだ」
安心のあまり、口から独り言が溢れた。もう、このマントも、仮面も外して良いだろう。
＿＿＿Aを見かけたのは、全くの偶然だった。複数の生徒に追いかけられて、必死で逃げている彼女をすぐに助けようとしたが、彼女を守った場合、朔間先輩との約束を破ることになる。どうしようもなく、歯痒い気持ちで彼らを見ているときだった。
「お困りですか？」
ふと、どこからか声が聞こえてきた。見渡しても、人の姿は見えない。
「誰かいるのか？」
すると、返事の代わりにばさりと何かが降ってきた。視界が塞いだものを掴むと、それは大きな黒いマント。その上には、やけに気味の悪いマスクが乗っている。
「それを着けていきなさい。そうすれば、彼女に貴方の正体はばれません」
声だけが、俺に語りかける。誰なんだ、と宙に投げてみても、やはり答えは返ってこなかった。
「私が助けに行っても良いんですけどねぇ、せっかく貴方が助けようとしてくれているのですから、お手伝いをして差し上げましょう。特別に、私の仮面コレクションをお貸ししますよ」
……仮面というか、マスクではないのか？
純粋にそんな疑問が浮かんだが、わざわざ聞くことでもない。礼を言うと、声は「いえいえ」と続ける。
「それに私は、立場上あまり彼女のために動けないのですよ。零のところの後輩が聡明な方で良かったです」
「朔間先輩を知っているのか？」
「ええ、旧い友です☆」
それよりほら時間がありません、と声が急かす。慌ててマントを着込みマスクをつけると、満足げな声がした。「お似合いですよ、ふ、ふふっ……」忍び笑いが聞こえたのは気のせいだろうか。
「Aを助けてあげてください、お願いします。ああ、真実を知りたいのなら「学院の生徒ではない」という設定にすると良いですよ」
＿＿＿それを最後に、声は聞こえなくなる。
はっとしてAの方に走っていくと、鉄パイプが振り下ろされる寸前だった。あと少しでも遅ければ、取り返しのつかないことになっていたかもしれない。
彼らを追い返すと、彼女はぽかんとしてお礼を述べる。言われた通りに発言すると、あっさりと彼女は真実を吐いた。
これならば、朔間先輩の作戦の役にも立てるし、彼女を守ることもできる。次回はもう少し詳しく話を聞くことも出来るだろう。
……そういえば、このマントをくれたのは誰だったのだろうか。
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とくくくめい - もう、ほんと、この小説の司くんが、まじ愛おしいほど大好きです！！！！！！！この小説に出会えた事が本当幸せです！すごく面白いですハラハラさせられます！！！ (2017年8月19日 17時) (
レス) id: d661f7493a (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - みかん☆さん» いえいえ、コメントありがとうございます！なるほど……そういう発想もありましたか…！！しかし花みたいに綺麗な噂ではないところが欠点です笑 応援ありがとうございました！ (2016年9月22日 18時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
みかん☆ - 鬼龍さん！！火のないところに煙はたたぬとも言いますけど根がなくとも花は咲くとも言いますよ！！(これが言いたかっただけ) 最新のところにコメントじゃなくてすみませんが、更新頑張ってください！応援してます！ (2016年9月22日 15時) (レス) id: 2b73766c3c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 月永 巡さん» ギャアアアアこちらにもコメントいただいてたんですね…！今気づきましたありがとうございます！！knightsとのじゃれあいは書いてて楽しいです、嬉しいコメント本当に本当にありがとうございます！ (2016年8月29日 16時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
月永 巡(プロフ) - すっっごい好きですこのお話!!!! もっと早く出会いたかったっ...! もうKnightsとの関わりが楽しすぎです(；∀； )!! 大事に読ませていただきますっ(｀；ω；´) (2016年8月25日 21時) (レス) id: f2838a14db (このIDを非表示/違反報告)
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