HERO/2 ページ44
「……な、なんだお前……!?」
男たちが、心底動揺したみたいな声をあげている。気になって、恐る恐る目を開けると。___目の前で、黒いマントがはためいていた。
「弱いものを、集団でよってたかっていじめるのは。卑怯者のすることだ」
め、めっちゃいいこと言ってる。だけどこれ、誰なんだ。何故だか声がすごくくぐもってるし、体はマントにすっぽり包まれている。唯一分かるのは、背の高さから男子なのだろう、ということだけだ。
なおも動揺する相手から、謎のマント男は鉄パイプを奪いとった。そして、いとも容易くそれを半分にへし折る。……なんだこの人!?
「お、お前、一体」
「お前たちに、教える道理はない。それより、もう二度と彼女を襲おうなどと思わないことだ」
脅すように言ったマント男に、男たちから「ひっ」と短い悲鳴があがった。そして、ころげるように彼らは退散する。……あっという間に、私とマント男の二人きりになった。
「あ、あの……ありがとうございます?」
座り込んだまま、彼にお礼を言う。すると、彼はゆっくりこちらに振り向いて___その顔を見て、私は口をあんぐりと開けた。
「じぇ、ジェイ……ソン……!?」
その顔は、正しく某13日の金曜日にやってくるといわれるあいつだった。声がやけにこもっていると思ったら、この人仮面をつけていたんだ。
……そりゃ皆逃げるわ。
これでチェーンソーでも構えてたらびっくりどころじゃない、皆気絶していただろう。そんな失礼なことを考えながら、開いた口の塞がらない私に、仮面男は手を差し伸べた。
「怪我をしていないか?立てるか?」
「アッハイ」
すごい優しいよこの仮面さん。顔と行動のギャップありすぎか。
立ち上がろうとしたら、よろけて仮面さんにもたれかかる。そうだった、さっき足捻ったんだった。
「逃げてる途中に、足を捻って……あ、けど大丈夫です。一人で保険室いけます!」
「……そうか?すまない、来るのが遅れてしまって」
えっ、もしかしてこの人知り合いだったりする?言われてみればこの雰囲気どこかで……?いや、そもそも人なの?
「あの、お名前をお伺いしても?」
知らない人だったら怖いので、敬語で聞いてみる。すると、彼はすぐに答えた。
「俺は、おと___」
しかし、そこで言葉につまる。
「おと?」
「…………音太郎だ」
全く知らない人だった。
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とくくくめい - もう、ほんと、この小説の司くんが、まじ愛おしいほど大好きです!!!!!!!この小説に出会えた事が本当幸せです!すごく面白いですハラハラさせられます!!! (2017年8月19日 17時) (レス) id: d661f7493a (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - みかん☆さん» いえいえ、コメントありがとうございます!なるほど……そういう発想もありましたか…!!しかし花みたいに綺麗な噂ではないところが欠点です笑 応援ありがとうございました! (2016年9月22日 18時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
みかん☆ - 鬼龍さん!!火のないところに煙はたたぬとも言いますけど根がなくとも花は咲くとも言いますよ!!(これが言いたかっただけ) 最新のところにコメントじゃなくてすみませんが、更新頑張ってください!応援してます! (2016年9月22日 15時) (レス) id: 2b73766c3c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 月永 巡さん» ギャアアアアこちらにもコメントいただいてたんですね…!今気づきましたありがとうございます!!knightsとのじゃれあいは書いてて楽しいです、嬉しいコメント本当に本当にありがとうございます! (2016年8月29日 16時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
月永 巡(プロフ) - すっっごい好きですこのお話!!!! もっと早く出会いたかったっ...! もうKnightsとの関わりが楽しすぎです(;∀; )!! 大事に読ませていただきますっ(`;ω;´) (2016年8月25日 21時) (レス) id: f2838a14db (このIDを非表示/違反報告)
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