使命と宣告/2 ページ34
……?
固まった衣更先輩は、逡巡するように視線を揺らす。それから、唇を噛んで顔を背けた。
「……ごめん、A」
その言葉はよく聞こえなかったけれど、衣更先輩はそのまま走り去って行ってしまう。やがて、足音は聞こえなくなった。
珍しい、まーくん先輩が何も言ってこなかった。変なものでも食べたんだろうか。……あ、それか私が「裏切り者」だから、関わりたくなかった?でも、それならあんな表情するかなぁ。
「んん、分からない……」
まあ、まーくん先輩のことは凛月先輩に聞けばいいや。それより目元を冷やさないと。
___中庭の水道をひねり、冷たい水でバシャバシャと顔を洗う。鏡がないから確認が出来ないのが残念だけれど、幾分かマシになっただろう。6時限までには教室に戻れるはずだ。
手が乾くのを待って、携帯を取り出す。今何時だ、と時計を見て、それからメッセージの通知に目を落として……息が止まった。
通知が来たのは、朝。相手は、蓮巳先輩。
……ウワアアア生徒会ダアアア!?
なに?また生徒会からのお呼び出し?あのとき逃げたから??ヤダヤダ今度はホントにエスケープするからね!?
震える手でメッセージの確認をタップする。数秒もせず表示されたのは、短い一文だった。
『放課後、「絶対に」紅月のレッスンに来い』
ただの文章なのに、威圧感が半端なかった。というか用件すら書いてなくて、怖すぎる。ただのレッスンなの?いや、日々樹先輩によると紅月は私を警戒してるみたいだから、レッスンを頼んでくるはずがない。
となると、何?私殺されたりする??殴られて射られて斬られる?あっすごい紅月武芸の達人たちじゃん!!……とか冗談を言ってる場合じゃない!
逃げようにも、なにしろこの文「絶対に」が強調されているのだ。私が逃げようとしていることを想定されてるよね。
逃げたらもっとめんどくさいことになるのは確実。今行けばまだ軽症ですみそうだ。……怪我すること前提なの、自分でもおかしいと思う。
ともかく私は諦めた。蓮巳先輩に分かりました、とだけ返して、knightsのライングループに報告をする。
今日はスタジオ行けないかも知れません、と付け足すと、鳴上先輩から「了解よ。気をつけてね」と返信がかえってきた。……ちゃっかり授業中に携帯触ってるよ鳴上先輩。
えっと、確か、今日の紅月のレッスンは普通にレッスン室で行われるはず。
……生きて帰ろう。私の頭には、その一言しか浮かばなかった。
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とくくくめい - もう、ほんと、この小説の司くんが、まじ愛おしいほど大好きです!!!!!!!この小説に出会えた事が本当幸せです!すごく面白いですハラハラさせられます!!! (2017年8月19日 17時) (レス) id: d661f7493a (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - みかん☆さん» いえいえ、コメントありがとうございます!なるほど……そういう発想もありましたか…!!しかし花みたいに綺麗な噂ではないところが欠点です笑 応援ありがとうございました! (2016年9月22日 18時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
みかん☆ - 鬼龍さん!!火のないところに煙はたたぬとも言いますけど根がなくとも花は咲くとも言いますよ!!(これが言いたかっただけ) 最新のところにコメントじゃなくてすみませんが、更新頑張ってください!応援してます! (2016年9月22日 15時) (レス) id: 2b73766c3c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 月永 巡さん» ギャアアアアこちらにもコメントいただいてたんですね…!今気づきましたありがとうございます!!knightsとのじゃれあいは書いてて楽しいです、嬉しいコメント本当に本当にありがとうございます! (2016年8月29日 16時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
月永 巡(プロフ) - すっっごい好きですこのお話!!!! もっと早く出会いたかったっ...! もうKnightsとの関わりが楽しすぎです(;∀; )!! 大事に読ませていただきますっ(`;ω;´) (2016年8月25日 21時) (レス) id: f2838a14db (このIDを非表示/違反報告)
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