正義の歌/4(side奏汰) ページ36
「……俺は、間違っていただろうか」
それはまるで、息の出来ない乾いた陸の上にいるみたいな、苦しそうな声でした。
「Aとは、仲良くやれてると思っていたんだが。嫌われていたかもしれないんだな」
「ちあき」
ちがいますよ。あのこは、すこしあたまがたりてないだけです。
そう言いたかったけれど、それじゃあAの考えが台無しになってしまう。
千秋のことは、大事ですけれど。その前に、あの一年生……名前は、忘れてしまいました。1-Aの、あの『ぷろでゅーさー』さん。あの人を、なんとかしなければなりません。
あの子がきてから、学院の雰囲気がわるくなりました。上手くいえませんが、ギスギスしています。
(……でも、『かいけつさく』なら……Aが、なにかかんがえているようですし?)
解決するというか、普通に楽しんでいる気もするのだけど。さすがに考えなしで遊んでいるわけでもないだろう。それなら、自分が出しゃ張るわけにはいかない。
ーならば、ぼくはこっそり『さぽーと』をさせてもらいましょうか。
Aが何もやってないことは、とうの昔から分かっている。新しく入ってきた新人プロデューサーと、一緒に過ごしてきたプロデューサーのどちらを信じるかなんて、火を見るよりも明らかだ。
彼女と話をして、詳しいことはわからないけれど、どうやら疑われたがっていることは理解できた。なぜそんなことをするのかは到底わからないが、あの子、あんずさんのことが大好きですから。おおかた、彼女関連なんでしょうけど。
協力するにあたって、ぼくはだれにもこの話をしないことに決めた。
(『てき』をあざむくには……まず、『みかた』から)
Aは、ぼくが疑っていると信じこんでいる。
ちあきには、嘘をつくことになる。
それを踏まえたら、Aやちあきたちには悪いですけど。ぼくはぼくなりの手伝いをさせてもらいましょう。
「ちあき」
名前を呼ぶと、千秋が振り向いた。ぼくは、笑って話を持ちかける。
「Aは……いままで、ぼくたちにうそをついていました。……ぼくたちがまもるべき『せいぎ』は、ひがいしゃのおんなのこです」
あの女の子の味方のふりをして、Aの動きを待つ。きっとそれが、無駄に動き回るより波風のたたない正解だ。
だから。平和のために少しだけ、『わるいこ』に戻らせてください。
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紅茶が凍っちゃった - 今28話なんですけど、アスターの花言葉に信じる恋っていうのがあって死ぬかと思いました… (2022年12月30日 12時) (レス) @page28 id: 4e52f11739 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - まだ途中ですが、leaderと草食べるのところで盛大に笑ってしまいましたwww最高ですもう、アメイジングさらっと言っちゃう主人公ちゃんも面白いですwww (2017年8月14日 2時) (レス) id: 9cb245a304 (このIDを非表示/違反報告)
もっちり兎(プロフ) - チベットスナギツネで検索かけてしばらく爆笑してました。面白くて、大好きです!(この小説がです!) (2017年6月12日 22時) (レス) id: e54c16753f (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 匿名さん» ご指摘、誠にありがとうございます。つきましては、お手数をおかけしますが改悪だと感じられる箇所をお教えいただけると変更しやすいので、お教えくださると幸いです。 (2017年6月10日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 二次創作の裏切りはキャラの改悪につながり、原作のイメージダウンとなりうる可能性があります。なので作品のパスワード保護、または改悪部分の変更、又は作品の削除をお勧めします (2017年6月10日 19時) (レス) id: 41b9136f09 (このIDを非表示/違反報告)
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