【あんスタ】進軍する騎士と爛漫の姫君(1)

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日々樹先輩は、相変わらず愉快そうな笑みを広げたままだ。

「knightsの様子は、貴方が良く知っているでしょう。どうです？楽しいですか？」

「先輩、絶対全部知ってますよね」

「さあ？」

私たちがしていることも、私が考えていることも、きっと日々樹先輩は全部分かっている。どこでそういう情報を手にいれてるの？盗み聞きしてるの？ストーカーなの？瀬名先輩じゃん。

「何か失礼なことを考えられている気がしますが、まあいいでしょう。あ、これお返ししますね☆」

ハンカチでも取り出すような自然な動作で、日々樹先輩はジャケットからジャケットを取り出した。一見文章がおかしいが、確かにジャケットからジャケットが飛び出した。ごめん私も混乱してきたよ。

「ってこれ、私のジャケット！？」

背中には、クロ先輩が「本当にいいのか？本当にいいのか？」と何度も確認してきたのを押し切って縫い付けてもらったなんかかっこいい刺繍。
胸元の可愛いウサギは、紛れもなく私専用ジャケットだ。

「これ先輩が盗んだんですか！？変態！！」

「フフフ、変態は私にとっては褒め言葉です…☆ですが、種明かしをしますと木に引っかかっていたのをたまたま見つけただけなんですよね」

だから木から落ちてきたのか、と一人納得する。てか犯人ジャケット捨てたんだひどい。お礼をいいながらジャケットを受け取ろうとすると、日々樹先輩はそれをひょいと持ち上げた。

「か、わ、り、に」

条件があります。そう、日々樹先輩は言った。

「条件？」

日々樹先輩だし絶対変なこというだろうなあなんて思っていたら、

「私も仲間にいれてくださいませんか？」

ほら、やっぱ……え？

「わ、わたるん先輩なんて？」

「私も貴方の「遊び」に挑戦してみたくて。全く、騎士たちの姫君の考える遊びはいつも刺激的ですから……☆演技力には自信があるので、どうかこの日々樹渉を使ってみませんか？」

すごい掃除機の宣伝みたいな文句言ってくるな日々樹先輩。

「別に、楽しそうだしいいですよ」

バレてるなら仕方ないし、噂の演技力も見たいから承諾した。瞬間、日々樹先輩が「感謝します！」と薔薇をばら撒き始める。あ、今のダジャレだから笑ってくれていいよ。いや笑って。

「でもわたるん先輩、fineって……」

いいかけたとき、日々樹先輩に口を塞がれた。薔薇の香りめっちゃするね。じゃなくて何どうしたの？新手の誘拐？

「静かに。来ます」

え、何が？……薔薇の妖怪とか？

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