鋭敏なるフリズューア/5 ページ17
「……美しくないな」
準備が出来て、鏡の前に座らされた私に、斎宮さんが開口一番にいったのはその一言だった。ひどい。
「君はちゃんと髪の手入れをしているのかね」
両手で私の髪に触れながら、彼は舌打ちとともにそんなことを言う。失礼な、シャンプーもリンスも毎日やってます。
「髪質が最悪なのだよ！！見ろ、毛先が痛みすぎだし枝毛が多い！その上ゴワゴワしている、君は森の中ででも暮らしていたのかね！？」
私の髪をひと束掴み、顔の横で持ってきた彼は怒鳴り声を発した。そ、そこまで言わなくても……！
泣きそうになる私に、彼はいいか、と櫛を手にとった。
「せっかく長い髪を持っているのだから、もっときちんと手入れしたまえ。僕が君に正しい髪の手入れ方法を教えてやろう」
ため息とともに、斎宮さんは言った。しかし返事の浮かばない私は曖昧に頷くことしか出来ない。それでも、彼は私の髪を梳かしながら言葉を続けた。
「君はシャンプーをつけ過ぎてはいないか？いいかね、髪の汚れの8割は濯ぎで落ちる。濯ぎで落ちない、残り2割の汚れをシャンプーを使って落としているに過ぎないのだよ」
「だから大量にシャンプーを使ってベタベタにするより、濯ぎに時間をかけたまえ」と彼は言葉を締めた。……確かに、シャンプーを多めに使っていた気がする。あんまり意味なかったのか。
「それから、髪の洗い方だ。いいか、髪を洗うんじゃない、地肌を洗え。指の腹でマッサージするように、こう！！！」
言いながら、斎宮さんはすごい力で頭を掴んできた。痛い痛い痛い、精神的じゃなくて生理的な涙が出そう。慌てて頷いたら、彼はすっと手を離した。これマッサージの力じゃないよ絶対……。
「トリートメントは頭皮ではなくて毛先のみ。痛むのは毛先だから、毛先に染み込ませるように洗いたまえ。返事は？」
「……は、はい」
なんでこの人、こんなに知ってるんだろう……？美容師の仕事でもしてるのかな。
それからも、彼は髪の乾かし方だとか色々なことをみっちりと話した後、ひと段落ついたのか櫛を置いた。ちなみに、私の髪をときながら何度も櫛に髪をひっかけ「ノン！！」と叫んでて怖かった。
「他にも、言いたいことは山ほどあるが……とりあえずは今いったことを続けたまえ、幾分かマシにはなるはずなのだよ」
「あ、はい。あ、ありがと、ございます……」
お礼を言ったのに、チッと舌打ちされた。もうやだこの人わからない、帰りたい。
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まめだいふくもち(プロフ) - こたつさん» こたつさん、ご指摘誠にありがとうございます。漫画などでよく見る表現だったのですが、なにか事件が関連していたのですね…。勉強になりました。つきましては、その表現を修正させていただきます。コメントありがとうございました！ (2017年10月29日 15時) (
レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ - ドラム缶に東京湾というワードは某事件を連想させるので修正した方が良いのではないでしょうか？ (2017年10月29日 9時) (レス) id: ae4fce482d (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 抹茶粉さん» 抹茶粉さん、コメントありがとうございます！とてもとても嬉しいです…！私もれいさんにプロデュースされたい！という思いから書き始めたので、光栄です笑 (2017年8月2日 22時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶粉 - 零さんにプロデュースされるなんて夢見たいです…！もう始まりから胸のきゅんきゅんが鳴り止みません！笑 続き楽しみにまってます！更新頑張ってください！ (2017年7月26日 16時) (レス) id: 634a139de2 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - ベリーさん» ベリーさん〜！ご指摘ありがとうございます。修正してまいりましたのでご確認ください。そして、またこのような事態があればお知らせください。 (2017年1月14日 13時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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