慧眼と金塊

3： ページ5

「姉さん！
今日は僕の初任務です！頑張ってきますね！
姉さんのような立派な呪術師になれるように
頑張ってきます！」



頑張らなくていいんだよ
お前は、普通に生きてくれれば
結婚して子供を授かって
静かに、幸せに生きてくれれば

それで良かったんだ




「姉さん！
僕、2級に上がったんです！
姉さんは特級なんですよね・・・
僕も頑張ります！」



やめてくれ・・・
お前は呪いなんかを祓ってほしくなんかないんだ

友達を作って
普通の高校生として生きててほしかったんだ



「姉さん、僕に1級の任務が入ったんです
しっかりと勤めを果たしてまいります！」






あぁ、なんであの時止めなかったんだろうか


‘’行くな‘’


その一言が何故言えななかったんだろうか


「A、医務室には来るなって言っただろ」

「硝子、海はっ！？」




あの時目に入ったあの光景は
一生忘れないだろう



「海っ！」



どれだけ救っても
手から零れ落ちる命に
私が挫折した日だった

4：→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す