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「私はA・トイフェル…よろしくね」

周りの同期たちに向かって、そう挨拶する。
私がこの名前を口にすると、毎回不快な顔をする人がいる。

だけど今回は大丈夫みたいだ。

挨拶をして、すぐに目についたのは身長の高い人。
2メートル近くはありそうな大きさだ。

「…」

身長が高くない私はどうしても、彼を見上げる形になった。
なんせ、私は身長が161センチしかないから。
きっとこれから伸びるとは思うけど、なんだか嫌な気分だ。

「えっと…どうしたんだい?」

そう思っていたら、突然話しかけてきた。
低くて、なんだか落ち着いた声だった。

「いや…身長、高いなと思っていただけ」

「192センチなんだ。…僕はベルトルト・フーバー。よろしくね、A」

ベルトルトはそう言って微笑んだ。


「Aはどうして調査兵団に入ろうと思ったの?」

ある日、ベルトルトは私に聞いた。

「私?…私、シガンシナ区の出身なんだ…エレンとは話したことないけど…」

私がそう言うと、ベルトルトは申し訳なさそうな顔をして言った。

「ごめん…嫌なことを思い出させてしまったかもしれない」

彼はそう言うけれど、むしろ逆だった。

「私は家族も友達もあれで全部死んだ…。だけど、私には巨人を憎む気持ちがないの。
家族が目の前で食われたのに、まったく苦しくなかった…ただ、何が起きてるのかわからなかった。それは今もそう。
だから、私は憎む気持ちを自分で作り出すために調査兵団に入る」

私がそれをいい終えると、彼は悲しそうな顔をして言った。

「……そんな覚悟があるのは、すごいと思う」


「僕は……楽しかったんだ!!本当に、…君たちといて、幸せだと思った…」

巨人の腕の中で、泣きわめくベルトルト。
私は彼が裏切ったと知っても、まったく悲しくなかった。

ただ、なんだか寂しかった。


「君達は大切な仲間だし、ちゃんと殺そうと思ってる」

何もかも割りきった顔で言うベルトルトに、尊敬すら感じた。


「ひっ……みんな!!助け…っ」

食われる彼を見て、可哀想だとしか思えなかった。


私は立体起動装置を捨てて、自ら食われて死んだ。

彼の気持ちを知りたかった。

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演鬼(プロフ) - さきさん» ベルさん小説の少なさわかります...!!私事で忙しいですが、なるべく更新できるよう頑張ります!コメントありがとうございます! (2021年2月5日 16時) (レス) id: 9af9bf450d (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 設定がちょーぜつ好きです!ベルトルトとの小説って少なくて、だから、本当に好きです!更新頑張ってください…! (2021年1月29日 23時) (レス) id: d19ff0bf1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:演鬼 | 作者ホームページ:ない  
作成日時:2020年12月6日 19時

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