奇妙なAU達の短編集

＊最初はただの好奇心 Mustard ページ2

最初はただの好奇心だった。

つまらねぇ見張りをサボる為に適当にふらついていたら、雪の上でボロボロで死にかけのニンゲンが倒れていやがった。しかも花のモンスター付きで。花のモンスターは俺を見るなり怖がりつつも、倒れたニンゲンを守るために俺の前に立ちはだかった。

モンスターに守られるニンゲン？

聞いた事も無ければ見た事もねぇ。それだけで俺の好奇心を満たすには充分だった。ソイツの身なりはまぁ酷いもんで服は焼け焦げ、肌には無数の切り傷が刻まれていた。よく見りゃ肌も焼けてる部分がある、多少焦げ臭いな。こんな状態でよく此処まで逃げきれたもんだ

「お、おい！あんまりAのこと」

「おい花、優しい優しい俺からの忠告だ。死にたくねぇなら許可もなく俺に話しかけるな」

「ぅ……ぐ…」

言いたい事はあるんだろうな、そりゃあもう沢山。だが興味の無いヤツの話を聞くつもりは無い。興味の無いヤツからの話は本当にくだらなさ過ぎてうっかり殺しちまうからな。
そんな事よりこのニンゲンを連れて帰らなきゃな。他のヤツに見つかったらそれはもう面倒くさいことになる。ニンゲンを肩に担いで近道すりゃ、すぐ俺の部屋に着く。雑にベッドに放り投げるとニンゲンは痛みからか小さく呻き声を上げたが、目を覚ます程じゃ無かった。花は少し潰れてたが気にかけてやる必要はねぇだろ。そんな雑な行為に花は物言いたげな表情で俺を見るが、言葉を発することは無い。死んじまったら側にいて守れなくなるからか、お利口に不満を口にせず俺の命令を聞いている。余っ程ニンゲンが大事みたいだな
ベッドに下ろしたニンゲンから離れ机の引き出しを開ける。どれもこれもモンスター用だが、まぁ無いよりはマシだろ。3つの箱を手に取り、再びニンゲンに近づいて箱から丸い容器を取り出す。手袋を口で取り中の薬品を手に付け、少量の魔力を込めながら傷口に塗り込む。このニンゲンが特殊なのか、或いは俺と相性がいいのか。少し塗り込んだだけでみるみる傷口は閉じ、最後には綺麗さっぱり無くなった。同じように軽度の火傷跡、重度の火傷跡にも塗りこんだが元から火傷跡なんか無かったかのように消えちまった。あの花はニンゲンの治療をした俺をどうして、と言いたげな表情で見てきていた。そんな花を鼻で笑い、こう言ってやった

「ただの暇潰しだ」







だが、あんなにも惹かれたのは一種の一目惚れだったんじゃないか？
そう思わされる程に、俺はあのニンゲンに夢中になる事になる

＊夢に見続けた景色 Murder→←＊諦めない君が好き Sans

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