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「ほら帰るぞ、車待たせてあるから」
恵くんは高専関係者の車に乗って帰って行った。
急に静かになるから少し淋しく感じてしまう。隣の悟くんを見上げると、悟くんもこっちを見て目が合った。
『……怒ってる?』
「あれくらいで怒んないでしょ。でももう恵には稽古以外のこと教えるのやめたー。あいつ全部Aで試しそうだし」
『何教えようとしてたの!?』
くっくっと可笑しそうに笑う悟くん。そしてさっき恵くんにキスされた頬に指で優しく触れてくる。
「これ恵のファーストキスにカウントされる?」
『んー、どうだろ。でも恵くんにはほんとに好きになった人とファーストキスしてもらいたい』
「じゃあ俺が消しても問題ねーよな」
そう言って恵くんのキスを上書きするかのように、私の頬にキスをする悟くん。くすぐったくて小さく笑えば、今度はその唇を塞がれた。
満天の星空の下。悟くんに告白されたあの日のように、この静かな世界にはまるで私たちしかいないみたい。
「もう俺以外の男とデートすんなよ」
『うん、悟くんとしかしない』
「また恵に誘われても断って」
悟くんは私の手にするりと指を絡めてくる。並んで歩きながら今日の出来事を『それで恵くんがね』と夢中で話していると、悟くんが私の唇に人差し指を当ててきた。突然のことに訳が分からず首を傾げる。
「もう俺のことだけ考えてもいいんじゃねーの?」
『さとるく…』
言い終わらない内に肩を抱き寄せられてもう一度キスをされた。
こんなことされたらもう恵くんの話はできない。私の顔を覗き込んでくる悟くんにじっと見つめられ、何も言えなくなってしまった。
口を開けばたぶん『好き』しか出てこないと思う。
「まだ恵のこと考えてる?」
その問いかけにぶんぶんと首を横に振る。『もう悟くんのことしか考えられない!』と言うと、悟くんは満足そうに笑った。
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りんごあめ(プロフ) - むーこさん» むーこ様ありがとうございます!作者の願望と妄想を詰め込んであるのでキュンキュンしていただけて嬉しいです🥺💓 (2月5日 17時) (レス) id: 60ce7b9f29 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 最高すぎます。。。クッション持って悶えちゃいました。。。キュンキュンが止まらなかったです!(≧∀≦) (2月5日 16時) (レス) @page47 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
コーンクリームコロッケ(プロフ) - 最高最高最高~~~~~!宣伝させてください笑私の夢小説も見て欲しいですーーー!心黒模様っていう伏黒恵の小説書いてるので、良かったら……(殴) (12月4日 16時) (レス) id: 45395c9c17 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - コーンクリームコロッケさん» ありがとうございます!!私も自分で書いていてニヤけが止まりませんでした🤣笑笑 (12月4日 12時) (レス) id: 60ce7b9f29 (このIDを非表示/違反報告)
コーンクリームコロッケ(プロフ) - うん…………ニヤけが止まりません笑笑笑笑 (12月4日 7時) (レス) @page4 id: 45395c9c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごあめ | 作成日時:2023年12月3日 14時