射手。34話 ページ35
*
一緒に戦うから。涙を流すあたしにさっちゃんは言ってくれた。
「っ、さっちゃっ……!!」
「……うん。A、これからもがんばっていこう。1人じゃなくて、みんなで」
「うんっ……!!」
さっちゃんの言葉にあたしはうなずく。……嬉しかった。一緒に背負うって言ってくれたこと、みんなでがんばっていこうと言ってくれたこと。その全ての言葉が嬉しかった。
やっぱりさっちゃんはあたし以上にあたしのことをわかっている。ほんとうに誇れる友達だし、親友だ。
「今度約束破ったら、ただじゃおかないからね?」
「え〜、なんか罰とかあるの?」
「んー……、そうだね〜……。とりあえず、針千本飲む?」
「えっ、それはやだよ!?」
「ふふっ、うそだよ。本気にしないで」
針千本飲ませたらA死んじゃうじゃん、とけらけら笑うさっちゃん。涙を何度も流したからか赤くなっているし、ほっぺには涙の流れた跡があって乾燥しているのがわかる。……あたしもきっと同じような顔になってる。
何も囚われず、何も気にしないで笑うことができたのは、4年ぶりだった。今までは罪の意識でうまく笑えなかったから。自分では笑っているつもりでも、詩乃や大輝から「本当に今楽しい?」って訊かれることもあったから。だから、今が本当に楽しい。
「……ねぇ、A。退院したら、もものところに一緒に行こうか」
「え、」
窓の外を見ながらあたしに言うさっちゃん。視線をあたしに移して優しく笑ってくれる。
「私もちょくちょくお墓参りに行ってたんだけどさ、Aとは行ったことがないじゃん。久しぶりに幼馴染3人集合しようよ」
ね?と首を小さく傾げたさっちゃんは、あたしがそうすると断らないのをもう知っているんだろう。だからこんなにあざとい仕草をする。……でも、あたしもそうしたかったから。久しぶりに幼馴染3人で集合したかったから。
「うんっ、もちろん!」
「よかった〜……。リハビリもあるだろうから、もう少し先になっちゃうね」
足も骨折してるし、と上から吊るされているあたしの足を見るさっちゃん。それに苦笑するしかない。だって、あの時はとにかく必死だったから。
「もう、本当に無茶しないでよ?今度無茶したら、絶交するかもだからね!」
軽くぎゅっと両手を握りしめ、釘を刺してくるさっちゃんに笑い返す。
「絶交は嫌だけど、約束は絶対に守るよ」
もう失わないために、大切にしながら生きよう。絶対に約束を守ろう。
4年前に止まった時間が、今動き出したような気がした。
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受験生 - こんばんは、高校受験をあと一週間後に控えた受験生です。はい。なにやってんだ。勉強しなくちゃいけないのがわかってたけど、読み進める手が止まりませんでした。私も夢主みたいに乗り越えていきます。たくさん勇気を貰いました。ありがとうございました!!! (2020年2月24日 22時) (レス) id: 61c0c59d71 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» そうなんですね!これからもよろしくお願いします! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 私は15年しか生きていない高1です。(笑) (2018年8月1日 20時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» ありがとうございます!はい笑、まだ16年しか生きていない高1です……笑。コメントありがとうございます!これからもがんばりますね! (2018年8月1日 18時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 完結、お疲れ様です!!高校生だったんですか!?これからも頑張ってください (2018年8月1日 17時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:岡本珠里奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hsjkei1/
作成日時:2018年3月25日 18時