射手。３２話 ページ33
＊
「……怖かったの。さっちゃんがそんなこと思うはずがないって思ってたのに、その夢で本当はあたしが居なければ、って思ってるんじゃないかって」
だから、とシーツの上に重ねて置いていた両手をぎゅっと握る。……分かってる。これはただの言い訳なんだ。あたしはさっちゃんを信じることが出来なかった。どこかでさっちゃんを疑っていたんだ。
「……そっか。」
あたしの今までの想いに、小さくさっちゃんがつぶやくように言葉を発した。うつむいているから、表情は見えない。若干鼻声のさっちゃんだけど、もう泣いてはいないらしい。
「……そんな風に思ってたんだ」
「え、」
「そんなに私のことが信じられなかったの？」
「や、ちが、」
「私が表面上仲良くして、裏でこそこそ陰口言ってるってそんな風に思ってたんだ」
「……れは、ちが、くて」
「だってそうでしょ？私はAのことをいつだって信じてたよ。Aが何かに悩んでるんだろうなぁって気付いてた。……でも、自分から言ってくれるかなってずっと待ってた。……なのに、何も言ってくれなかった。それだけ、私のことを信じてくれてなかったってことでしょ？」
すごくショックだったんだからね、と小さく言葉にするさっちゃん。その痛々しい声に、今まで自分が彼女にとってとてもひどい態度をとっていたのだということを改めて思い知らされたように感じた。
……今までのあたしだったら、また自分のせいだと責めるんだろう。でも、それだと何も変わらないじゃないか。何度も過ちを売り返すことになってしまう。それだけは絶対に嫌だ。このまま、さっちゃんとすれ違っちゃうなんて、絶対に嫌だ。
勇気を出すように、ぎゅ、と自身の手をもう一度強く握った。強く決心をしてさっちゃんの顔を見る。さっちゃんは傷ついた顔をしていて、その顔をあたしが差せてしまったんだと思うと、居た堪れない気持ちになった。
「……さっちゃん、ごめんね。でも、これだけは信じて欲しい。あたしは、さっちゃんのことが好きだよ。大好き。失いたくない」
……そうだよ、こんなに簡単なことだったんだ。確かに、自分の思っていることを口にするのはとても怖い。相手にどう思われるんだろうって考えたら言い出すのもためらってしまうし、嫌われたらどうしようってマイナスなことばかり考えてしまうだろう。
でも、そこで立ち止まってたら何も変わらないんだ。あたしは“生きてる”。“意志”をしっかり持ってるんだ。人形なんかじゃない。自分の意志を相手に伝えないと、相手も分からない。
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受験生 - こんばんは、高校受験をあと一週間後に控えた受験生です。はい。なにやってんだ。勉強しなくちゃいけないのがわかってたけど、読み進める手が止まりませんでした。私も夢主みたいに乗り越えていきます。たくさん勇気を貰いました。ありがとうございました！！！ (2020年2月24日 22時) (
レス) id: 61c0c59d71 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» そうなんですね！これからもよろしくお願いします！ (2018年8月1日 21時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 私は１５年しか生きていない高1です。（笑） (2018年8月1日 20時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» ありがとうございます！はい笑、まだ１６年しか生きていない高1です……笑。コメントありがとうございます！これからもがんばりますね！ (2018年8月1日 18時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 完結、お疲れ様です！！高校生だったんですか！？これからも頑張ってください (2018年8月1日 17時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：岡本珠里奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hsjkei1/
作成日時：2018年3月25日 18時
