射手。3話 ページ4
*
「年上に向かってなーに、その口の利き方」
「うっせぇなぁ、ほんと!」
「小さい頃は可愛かったのになぁ〜」
「あん頃はあん頃だろ!」
ふいっと違う方を見る大輝。そんな大輝を見て紗季はにやにやと笑った。
「……ね、大輝くん……。美咲さんって、ここの病院にいるよね?」
「……あぁ、いるよ」
「私、ちょっと顔出してくるね」
「あぁ、行って来い」
「……ありがと」
紗季は音を立てないようにして病室を出た。大輝は受け取りそのままずっと持っていたケーキの箱をそばの小さい机の上に置き、まだ寝ているAの前髪を優しく撫でる。
「……早く起きろよ、」
そうつぶやいて飲み物を買ってこようと大輝は病室を出た。
自販機に着き小銭を入れコーヒーを買う。そしてぼんやりと今日の夕飯どうするかを考えた。Aが意識不明となってから家事をすべて担当するようになっていた大輝。栄養バランスを考えて作っているのだが、詩乃は食欲がないからと言ってろくに口にしないのだ。
「どーすっかなぁ」
両腕を頭の後ろに移動させながら買ったコーヒーを手にまた病室に戻った。……今日は詩乃の好物でも作ってやろうかな。だったらアイツは嫌でも食べるだろ。
「おーい、詩乃もう帰るぞ……、って、」
個室を取っているため、誰かに気を使う必要は全然ない。だからノックもせずに病室のドアを開けた。すると、寝ている姉のほっぺを触っている謎の不審人物。学ランを着ているから学生。そして多分高校生くらい。Aの知り合い。だが大輝にとっては謎の男。
「誰だ!!?」
……まぁ、こうなる。
「いずみん先輩ー?」
「なに騒いでんだ」
コンコンとノックをして顔をのぞかせる2人の男。1人は小さく人懐っこそうな雰囲気で、もう1人はカチューシャを頭にしている。
大輝は突然現れた男に驚くばかり。それはAの病室を訪れた謎の男3人組も同じだった。
「……ん、むぅ」
「……だい、ちゃ?」
大輝の大きい声に目を覚ましたのか寝ぼけている様子の詩乃と友紀。目がとろんとしていて呂律も回っていない。そんな2人を横目で見つつ、謎の人物3人に尋ねた。
「あんたら、誰?」
「おれは出水 公平」
「あっ、おれ緑川 駿!」
「おれ米屋 陽介〜」
名前を訊いてもイマイチ誰だか分からない。尋ねたはいいもののそのあとになにを訊くかを考えるのを忘れていたため、言葉に詰まる。
しばしの沈黙。そんな大輝を見かねてか、カチューシャ男……、米屋が口を開く。
「そういうお前は?霜平の知り合い?」
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受験生 - こんばんは、高校受験をあと一週間後に控えた受験生です。はい。なにやってんだ。勉強しなくちゃいけないのがわかってたけど、読み進める手が止まりませんでした。私も夢主みたいに乗り越えていきます。たくさん勇気を貰いました。ありがとうございました!!! (2020年2月24日 22時) (レス) id: 61c0c59d71 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» そうなんですね!これからもよろしくお願いします! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 私は15年しか生きていない高1です。(笑) (2018年8月1日 20時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» ありがとうございます!はい笑、まだ16年しか生きていない高1です……笑。コメントありがとうございます!これからもがんばりますね! (2018年8月1日 18時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 完結、お疲れ様です!!高校生だったんですか!?これからも頑張ってください (2018年8月1日 17時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:岡本珠里奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hsjkei1/
作成日時:2018年3月25日 18時