射手。23話 ページ24
*
「なんとか病院に連絡して、働いてくれていた春樹さんに百奈を捜すようにお願いして、私は運ばれた。……その後のことは覚えていないの。ただ新しく産まれた百音の産声と、悲痛な表情をした春樹さんが静かに涙を流していたことははっきりと覚えてる。……そして謎の怪物のようなものが現れ、百奈が亡くなってしまったことを知った」
「萌歌から連絡を受けたあと必死に百奈を捜したよ。でも全然見つけきれなくて……。逃げ惑う人の波に押されて、気がつけば避難場所にいた。そのあと雨が降りしきる中……、冷たくなってしまった百奈を見つけた」
萌歌さんと春樹さんの目から溢れる大量の涙。あたしのほっぺにも涙が伝っていて。そんなあたしを見て春樹さんは なんでAまで泣いてんだよ、と泣きながら笑った。
「俺は百奈を見つけられなかったこと、父親としての役目を果たせなかったことがすごく悔しかった。百奈が生まれて来てくれたとき、“一生をかけて守っていこう”ってそう誓ったのに守れなかった」
「私は百奈に怒ってしまったこと。もっと言い方を考えればよかったってすごく後悔した。……だから本当は百音が生まれて来てくれたとき、嬉しくもあったし、同時に不安もあった」
「……え、どうしてですか……?」
「百奈を守れなかった私たちに
「俺も若干なりかけてて、でも百音と向き合おうって萌歌と決めて一緒に頑張って来た。……でも百音のお参りには、あの子の命を奪ってしまった俺たちがのこのこと行っても嫌がるんじゃないかって思ったら行けなかった」
……逃げてただけだったんだ、と苦しそうに言う春樹さん。萌歌さんも百音ちゃんを抱きしめながら静かに涙を流した。百音ちゃんは自分の両親がどうして泣いてるのかわかっていないらしい。でも、悲しくて泣いていることはわかっているみたいで。泣き止んでと言うかのようにぺたぺたと萌歌さんのほっぺを触っている。
そんな百音ちゃんを愛おしそうな目で見て笑う春樹さんと萌歌さん。
「4年も経ったしもうそろそろ逃げるにはやめようと話して三門市に戻って来たんだ。そしたらまた近界民が攻めて来たと知って、もう失いたくないと百音を守っていた。……でも、気がつけば百音も萌歌もいなくなってて、」
「え……!?」
151人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
受験生 - こんばんは、高校受験をあと一週間後に控えた受験生です。はい。なにやってんだ。勉強しなくちゃいけないのがわかってたけど、読み進める手が止まりませんでした。私も夢主みたいに乗り越えていきます。たくさん勇気を貰いました。ありがとうございました!!! (2020年2月24日 22時) (レス) id: 61c0c59d71 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» そうなんですね!これからもよろしくお願いします! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 私は15年しか生きていない高1です。(笑) (2018年8月1日 20時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» ありがとうございます!はい笑、まだ16年しか生きていない高1です……笑。コメントありがとうございます!これからもがんばりますね! (2018年8月1日 18時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 完結、お疲れ様です!!高校生だったんですか!?これからも頑張ってください (2018年8月1日 17時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:岡本珠里奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hsjkei1/
作成日時:2018年3月25日 18時