射手。17話 ページ18
*
「Aちゃんっ!」
ガラッと扉が開いて入って来たのは、私服の駿くんと制服姿の米屋先輩で。今はまだ冬なのに汗をかいているから、走ってくれたんだろうなってことが分かる。ちなみにドアを開けながらあたしの名前を呼んだのは駿くん。2人はもう公平先輩が病室にいることに驚いたらしい。少し目を点にさせた。
「お前来るの早くね?」
「病院から連絡来て、速攻来た」
「へぇ……?」
にやにやとした表情を浮かべる米屋先輩に 太刀川隊の任務で俺学校早退してるし、と付け加える公平先輩。……そっか、米屋先輩と公平先輩って同じ学校だったっけ。
軽く言い合いを始める先輩を余所に、駿くんはあたしが寝ているベッドへ近づいて来た。
「Aちゃん2週間も起きないからびっくりしちゃった」
「あはは。……ごめんね?」
「相内さんも心配してたよー?今冬休み中なんだけど、相内さんがいきなりボーダーまで来てね、Aは何処ですか!!って大きい声で訊いてて〜。すっごい大変だったんだよ?」
「ふふ、さっちゃんも大げさだなぁ」
「いろいろ話訊いて、Aちゃんの病院教えて帰ってもらったけどさ……、相内さん切羽詰まったような顔してて。目はもう涙目で、みんなおれのせいみたいな感じで見るからもう困っちゃってさ」
「ごめんね、駿くん」
「いや、それは全然いいんだけど!」
あはは、といつも通り笑う駿くん。でも少し目尻に涙が溜まっているように見えるのは、あたしの気のせいかな?……みなさんがこうしてあたしだけのためにわざわざ足を運んでくださる。そのことが素直に嬉しかった。
自惚れじゃないって信じたい。あたしはここに存在していいのだと思いたい。そしてまだ言い合っている米屋先輩をちらっと見てあることを思い出す。
「……あ、米屋先輩っ。百音ちゃんはだいじょうぶでしたか!?」
「もねちゃん?……あー、あの小さい子?霜平が民家に残してった子」
「そうです!肩の上できれいに切り添えられていた女の子です!」
あたしが米屋先輩に百音ちゃんの特徴を伝えると、先輩は公平先輩との言い合いを止めて笑った。公平先輩もあたしを見て笑っている。
「霜平が身を挺して守ってたからちょっとしたかすり傷だけ。大きい外傷はなにもなし」
「……よかったぁぁぁ……。ありがとうございます、米屋先輩!」
よかったぁ、百音ちゃんが無事で。心配だった。米屋先輩ならだいじょうぶだと思っていたけど、でもやっぱり心配だと思う部分も大きかった。
「無事に親御さんのところに戻ったよ」
「そ、ですか……」
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受験生 - こんばんは、高校受験をあと一週間後に控えた受験生です。はい。なにやってんだ。勉強しなくちゃいけないのがわかってたけど、読み進める手が止まりませんでした。私も夢主みたいに乗り越えていきます。たくさん勇気を貰いました。ありがとうございました!!! (2020年2月24日 22時) (レス) id: 61c0c59d71 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» そうなんですね!これからもよろしくお願いします! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 私は15年しか生きていない高1です。(笑) (2018年8月1日 20時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» ありがとうございます!はい笑、まだ16年しか生きていない高1です……笑。コメントありがとうございます!これからもがんばりますね! (2018年8月1日 18時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 完結、お疲れ様です!!高校生だったんですか!?これからも頑張ってください (2018年8月1日 17時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:岡本珠里奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hsjkei1/
作成日時:2018年3月25日 18時