射手。16話 ページ17
*
「ごめんなさいっ、……めんなさいっ」
自分が情けなかった。なにも知らずに公平先輩に当たってしまったこと。あたしはなにをしてたんだ。先輩はいつだってあたしのことを考えてくれていたのに。あたしは自分のことだけしか考えてなかった。
ももちゃんのときと同じだ。お母さんのときと同じだ。自分のことばかりで、相手のことを全然考えれてない。
「…………だーっ!!もうやめろ、謝るの!!」
「……え、」
あまりの申し訳なさに涙が溢れてくる。何度も何度も先輩に対して謝っていると、公平先輩が大きい声を出して立ち上がった。あたしは驚いて流れていた涙が少し止まる。
「俺はAに謝ってほしくて言ったわけじゃない。Aだけじゃなくて俺も悪かった。お互い悪かった!……それでいいじゃねぇか」
「っ、……でも、」
「でもじゃねぇ!俺が言ってんだからいいんだよ」
気にすんな、と言ってあたしの頭を撫でた公平先輩。優しくて温かい手。それに安心して止まったはずの涙が溢れ出した。
あたしが涙を流したことに驚いていたけど、「嬉し涙だからいいんです」と言うと「ギリギリセーフな」って言って優しく笑った。
「……A、生きててくれてありがとう」
「……あたしも、生きててよかったって思ってます」
目を擦って先輩に笑いかける。退院したらまた厳しくお願いします!と意気込んであたしが言うと、お前は骨折してんだからしばらくは絶対安静な、と先輩に釘を刺された。
思わずほっぺを膨らますけど、先輩が絶対に引かないことは知っている。一度言ったら余程のことがない限りやり遂げてしまう人だということを知っている。だから、……はいとつぶやくように声に出した。公平先輩は呆れたように息をはいて、もう一度あたしの頭を撫でた。
「……Aって変なとこ頑固だよなぁ」
「そうですか?」
……あたしって頑固なのかなぁ。頑固ってあれでしょ?なんか自分の意見は譲らない!!……みたいな?(かたくなで意地を張ること。わからずやで押しの強いこと。)
「怪我しててもなにしても、俺や柚宇さんが止めても“絶対行くんです!!”って訊かねぇじゃん」
「え〜、そうですか……?」
身に覚えがなくて思わず首を傾げた。そんなあたしを見て、また呆れたように息をはく公平先輩。……あれ、あたしマズイこと言っちゃったのかな?なんて思うけど、わからないことはしょうがないよね!と自分なりに納得した。
……そのとき、廊下から勢いよくバタバタと音がして病室のドアががらっと開いた。
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受験生 - こんばんは、高校受験をあと一週間後に控えた受験生です。はい。なにやってんだ。勉強しなくちゃいけないのがわかってたけど、読み進める手が止まりませんでした。私も夢主みたいに乗り越えていきます。たくさん勇気を貰いました。ありがとうございました!!! (2020年2月24日 22時) (レス) id: 61c0c59d71 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» そうなんですね!これからもよろしくお願いします! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 私は15年しか生きていない高1です。(笑) (2018年8月1日 20時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 珠理奈(プロフ) - いろえんぴつさん» ありがとうございます!はい笑、まだ16年しか生きていない高1です……笑。コメントありがとうございます!これからもがんばりますね! (2018年8月1日 18時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
いろえんぴつ(プロフ) - 完結、お疲れ様です!!高校生だったんですか!?これからも頑張ってください (2018年8月1日 17時) (レス) id: c175a64265 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:岡本珠里奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hsjkei1/
作成日時:2018年3月25日 18時