先輩が演技している２【五条悟】

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『ホラー映画これしかやってないみたいですね

一応評価は高いみたいですけど…』


五条「うん…」




薄暗くなってきたシアターの中

悟先輩の隣の席に座る


映画なんて久しぶりで

ちょっとどきどきしちゃうな




『あ、始まるみたいです』


五条「っ！」




例の映画泥棒さんが捕まって


スクリーンにタイトルが映し出され

本編が始まっていく




日常に潜む"ナニカ"


それが今回のテーマだった




日常に潜んでいるあたり


呪霊と似たような何かを感じる




五条「っ！！」




ﾄﾞｼｬｯ!!!


というぐろめの音で

隣の悟先輩が身体を少しびくつかせる



隣をみてみると

すでに顔が真っ青だった




『(意外だ…悟先輩って

ホラー映画でびっくりしたりするんだな…

びっくりしちゃうけどそれが楽しい…みたいな？)』




それにしたって顔色が悪すぎる




『…悟先輩』




…あれ？聞こえなかったのかな




『悟先輩…悟先輩！』



五条「！、な、なに」



『さっきから震えてますけど大丈夫ですか？』



五条「え、あ…」




言われて初めて気がついたように


悟先輩が自分の両手をみつめる




『先輩もしかして…

ホラー映画好きだけど

怖いの苦手…とかですか？』



五条「え」




固まってる


図星なんだろうか


でもせっかくだしこの映画みたいな…




『怖かったら…

手、繋いでおきます？』



五条「はっ！？」



『ちょっ、ｼｰｯ、静かに！

声が大きいです！』



五条「ご、ごめっ…」



『あ、嫌なら断ってもらっても』



五条「嫌じゃねえ！繋ぐ！！」



『！、あ、じゃあ…』




よほど怖かったんだろうか


食いぎみに返事をされたから

悟先輩に手を差し出した




五条「し、ｼﾂﾚｲｼﾏｽ…」


『……ど、うぞ』




…ぅわ、どうしよう


あんまりちゃんと考えてなかったけど

これって結構恥ずかしいやつじゃ…


悟先輩頼みますからそんな改まらないで…




『っ、』




暗闇のなか


先輩の細くて長い指が私の指にふれる


そのままｽﾙﾘ、と手を滑らせて

私の手が軽く握られた


擽ったさに顔をしかめずにいられない



じわりと熱が伝わってきて


心臓がはやくなる




『(恥ずかしい…けど

悟られるわけには…)』




照れ隠しのために


震えに気づかれないように


私は先輩の手をよりしっかり握った

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