先輩が演技している２【五条悟】

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五条「はー…つかれた

電車ってあんな混むんだな」



『任務に行くときは補助監督さんに

車で送迎してもらいますもんね…忘れがちです』




高専の最寄駅、といっても


高専の寮からは遠い



山の麓まできてからが勝負だった



夕日は木々に遮られてもうあまりみえない




『…傑先輩と硝子先輩、もう大丈夫ですかね

差し入れとか買っといた方が…』



五条「いーよいーよ

あいつらはすぐ元気になる」



『そうですか…？』




そんなふうに喋っているうちに


寮が見えてくる




『(悟先輩と一緒だとすぐなんだな…)』



「…じゃ、おつかれ」



『お疲れさまでした

その…』



「？」



『…いえ、今日はありがとうございました』



「あぁ、俺も…ありがと」




"またふたりで"



その言葉が言い出せないまま


それぞれの寮に帰る




しばらく窓越しに悟先輩がみえていたけど

角を曲がって見えなくなってしまった





『…すきです…せんぱい、』





その短い言葉が、いえない




無意識とか、偶然かもしれないけど


ずっと車道側を歩いてくれた



真っ赤な顔に、どきどきした



子どもみたいな笑顔も…ぜんぶ、すき




『……需要、ないんだったっけ』




携帯の画面にうつる


幸せそうにパンケーキを頬張る悟先輩の写真




その一枚だけは


誰にも送らずに

私の携帯に閉じ込めた

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