【薄桜鬼SSL】桜下偃月記 壱

六話　名乗り ページ7

こうもあっさり敵に名を明かすのか。


なかなか、見所のある相手だ。


A「龍崎 A。旗本龍崎家次期当主だ。」


倒れたところを、ということは命の恩人に当たるのだろう。


名乗られた以上、こちらもきちんと名乗らねばなるまい。


寝たままというのは失礼ではないか。


急に冷静になって立ち上がってみたところ・・・


A「・・・・・・え？」


自分の今の格好に気づく。


襦袢も何もなく、ただの薄っぺらい布の服。


今まで見てきた洋装の中でも特に薄い気がする。


A「な、なんだ、これはっ！！」


また、大きな声で叫んでしまった。


左之「何って、ただの服だろ？」


A「こんな薄い布一つで身体を晒すなど！夷敵は何を考えているのだ！｣


叫び続けて息が切れた。


再度落ち着くことを試みて深呼吸をするが、そこでまた別の問題に気づく。


A「・・・・・・のか？」


左之「？なんだって？」


A「拙者を着替えさせたのは汝かと問うたのだ！

　 返答しだいでは斬り捨てる！！」


男として育てられたとはいえ、さすがにそこまで割り切ることはできない。


手元に刀が無いことをひどく悔やんだ。

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