エンドオブストーリー

〇46__更新停止なんて嫌ですよ ページ46

「やっっっぱりAさんはダメな人です」


「どこからつっこんだら良いのか、もう」と呆れ返るテヒョン君に「なんかごめん」と謝罪する。

テヒョン君の温もりに触れる手を引っ込めるのか否か、正解がわからなくなり動けない。


体温を直に感じながら考えた。

私は、中途半端な優しさはかえって相手を苦しめるということを身を持って体感している。
それならば、同じ思いをしてほしくない。
テヒョン君にとっての残酷な人ではありたくない。



「私の好きな人はヨンジュンだよ」


「知ってます」


「隣にいたらきっと辛くなるよ」


「かもしれないですね」


まるで台本を読んでいるかのよう。
テンポ良く返答するテヒョン君の表情は変わらない。

何を要求すればいいのか、どこに応えればいいのか。
思い悩んでいると、脱力した指にそっとテヒョン君の指が絡まった。


「言ったでしょ、Aさんはヒロインだって」


繋がれた手を引っ張られた勢いで、テヒョン君と一緒にその場を立ち上がった。



「ヒロインのカットが少なかったら、僕の物語はどうなっちゃうんですか。更新停止なんて嫌ですよ」



そう言ってキラキラと笑ったテヒョン君が「帰りましょう」と今度は優しく引っ張った。


されるがままに歩きながら「更新停止…」と小さく呟く。

人生はフィクションじゃないから、明日が来る限り結末なんて来ない。
そんな当たり前のことにも気づかない私は、早々に"あとがき"へ進もうとしていた。


ヨンジュンのこと、悲しいし辛いし泣きたいに決まってる。
当分立ち直れないし前を向く気力もない。


それでも、こんな私をヒロインだと言ってくれるテヒョン君がいるのなら、私はその気持ちに向き合いたい。


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