104.早朝ランニング ページ14
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No side
合宿6日目、朝5時頃。
早朝ということで流石の都内も人通りは少なく、空気も昼間に比べて爽やかだ。
七夕Aは靴紐をキュッと結び直し、人目を気にしながらも合宿所を後にした。定番のランニングコースとは真逆の方向へと走っているのは、おそらく自主トレ中の部員との遭遇を恐れてのことだろう
何かに行き詰まった時、こうやってランニング等で身体を動かしリフレッシュをするというのが彼女のルーティーンなのである
A「(…結局、夜久さんに何かアドバイスを頂くことができなかった、)」
軽く走りながら思い出されるのは昨夜の夜久とのやり取り。恋愛経験皆無な彼女としては、夜久から何らかのアドバイスを得たかったのだが、それは夜久を惑わすことで終わってしまい、結果作詞は一切進んでいないのである
A「(マネージャーのみなさんの意見もお聞きしたけど、できれば男性の意見も聞きたいし…孤爪くんあたりにでも聞いてみるしか…)」
そんなことを考えながら小一時間ほどランニングをした彼女は、軽く息を切らしながら合宿所である梟谷学園の合宿用施設の前へと戻ってきた。乱れた息を整えながら、額の汗を手で拭ったとき、ふと彼女に近づいてくる足音。
息を荒らげているためか、普段気配に敏感な彼女は今日ばかりは気が付かなかったようで、足音の主の影が自身にかかったところではっと顔を上げた
A「…ええと、おはようございます」
彼女がやっと絞り出したのはそんな言葉。一方で陰の主はAを見つめたまま黙りこくっている。そんな"彼"にAは少しだけ目を泳がせ、口を開いた。
A「あの、私に何か御用でしょうか。
…牛島さん。」
未だAのことを無言で見つめ続ける彼、牛島若利はそれでも無表情。未だ彼と話したことのないAは、一体彼が自分になんの用事があるのかを理解できないようである。
お互い無言のまま数十秒が経過したとき、やっとのことで牛島は静かに口を開いた
牛島「もう、辞めたのか。」
A「……?」
牛島「バレーは、もう辞めたのか。」
A「…っ、」
牛島の言葉に、Aは思わず息を飲み、眉を寄せる。ぶわりと吹いた夏の暖かい風が、梟谷学園の敷地に植えられた葉桜を揺らした。
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ゆめぬし〜 - わ〜続きめっちゃ気になります!!更新お待ちしてます!! (3月27日 19時) (レス) @page19 id: 87ace5bfb7 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 更新お願いします…(´;ω;`) (3月22日 12時) (レス) @page19 id: 912a8b7391 (このIDを非表示/違反報告)
_zh(プロフ) - 続きが読めないのが惜しいです……こんな面白い所で止まってるなんて……気が向いたときにふらっと戻ってきてくれたら嬉しいです。お気に入り登録しておきます (10月29日 10時) (レス) @page19 id: acefa471ee (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、、欲を言えばもっと逆ハー要素いっぱい増やして欲しいのと、ノヤっさんとの絡みいっぱい見たいです!!文才天才過ぎます、、更新お待ちしてるので完結までついていかせてください! (8月27日 4時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
shibao(プロフ) - 全然待つので続き書いてください! (7月8日 23時) (レス) id: 3ee091ec74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@ゑの | 作成日時:2021年4月10日 23時