簡単に崩れて簡単に訪れる終わり。２ ページ32
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なんだ、忘れ物を取りに行ったわけじゃない。
あんなに急いでいた様子だったのは、
凛さんに、会うためか。
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パーティーの間中、
光の下でずっと一緒だったのに、それでも足りなかったのか。
男女が朝まで一緒にいて、
やることなんて一つしかない。
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襟元の口紅、首元のキスマーク、
それが何よりの証拠だった。
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この前まで自分がしてたことなのに。
彼の本命の人を裏切って、共犯者になって、彼に抱かれて、
そして私は、他人の幸せを奪った。
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同じことを、返されているだけだ。
私は傷つく権利すら持っていない、
嫌だと泣く資格さえない。
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だけど、もうダメだと思うには、十分だった。
ああ、もう、無理だ。
私が捨てられるのは、もはや時間の問題で
この場所に座るのは彼が好きな彼女だ。
どうでもいい、私なんかいる場所はない。
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「…いつから、いた、お前」
「いつから？」
「昨日の夜！いなかっただろ！どこ行ってたんだって聞いてんだよ！！」
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大きな声で、怒鳴られる。
どこにも、行ってません、あなたじゃないんだから、
私の行く場所はここしかないのに、
あなたみたいに、好き勝手に遊びに行けるほどの居場所は、私にはない。
この城に囲って、そうしたのは、あなたなのに。
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「ずっと、いましたよ」
「…、」
「電話を切ってからずっと」
「、」
「家にいました」
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知らないでしょう、知らないでしょうね。
あなたが私をいらないと言って、私が泣いたことも
あなたのために綺麗にした自分をすぐに捨てたことも
あなたが好きな女の子を光の下で隣に置いている間私が息もできないくらい惨めだったことも
あなたが他の女の子を抱いている間、私がずっと家で心の奥で帰りを待ってたことも。
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全部、全部知らないでしょう。
だから、そうやって、
いつもは私に冷たくあたる癖に
私を都合の良い女だと笑うように抱きたいときだけ甘い嘘を吐くんでしょう。
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「…シャワーどうぞ、朝ごはん食べますか？」
「、いらない」
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私がどれだけあなたのことが好きだったかなんて、
簡単に嘘がつけるあなたには、分からないでしょう。
私のことをこれっぽっちも好きじゃなかったあなたには、
私の気持ちなんて、ただのオモチャに過ぎなかったんでしょう。
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