あなたには関係のない一日だから。４ ページ22
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「なにこれ？俺に喧嘩売ってんの？」
「そんな、こと」
「俺の目に入る所に？お前が選んだ水色の花？冗談も大概にしろよ」
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違う、なんて言えなかった。
昨日は私の誕生日で、いつも行くお花屋さんがくれたんです、なんて
とてもじゃないけど言える雰囲気じゃなかった。
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「二度とこんな真似すんな」
「、」
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ああ、水色が、嫌だったのか、と
元気を失くした花たちを見ながら、思う。
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私にとって、戒めの色である水色は、
彼にとって、人生を共にすると誓った綺麗な彼女との思い出の色だ。
なんで、愛されるかもしれない、なんて少しでも思ったりしたんだろう、
彼は、怒ってるんだ、彼女との思い出が、私なんかに汚されたことに。
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あれから、あの日から櫻井さんは私に「好き」だと言わない。
キスをするのは、気まぐれに身体を重ねるときだけで、
そして、偽りの甘い声で、「可愛い」なんて呪いの言葉を吐く。
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私を見る目はいつだって冷たくて、
だけど私は彼のことを愛していて、なんで、利用されてるって分かってるのに、
諦められないんだろう、こんなの、もう、ただの馬鹿だ。
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あの時、あの黒い部屋で、櫻井さんは私に、好きだと言った。
そして、琴葉さんは櫻井さんのことが好きじゃない、と。
私は、それに騙されたふりをした、信じたふりをしてついてきた。
だけど、櫻井さんが琴葉さんのこと好きじゃない、なんて聞いてない。
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どうして、騙されふりなんてできたんだろう、
あの時から、彼にとって一番は琴葉さんで、私は、ただ。
ああ、代わりだ、"カノジョ"なんて、そんなの彼が私を馬鹿にしていただけだ。
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そして、その"代わり"の役目も、
きっとすぐに失くなってしまうんだ、
琴葉さんの代わりが私、そしてその代わりが凛さん。
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くたり、と力が抜けた水色を手に取ると、ぽたぽたと水が垂れて、床を濡らした。
そのままゴミ箱へ捨てる。
彼が今日も手を付けなかった料理と一緒に捨てられた花を、
唇を噛んで、そのまましばらく、見ていた。
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私みたいだ。
私も、そのうち、こうやって。
いらない、と言われて捨てられるんだ、彼が必要としなくなったものと一緒に。
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"カノジョ"であることの意味と意義。→←あなたには関係のない一日だから。３
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