契約−７ ページ26
＜Yuzuru Side＞
目を覚ますと、見慣れない天井があった。
瞼を閉じて、もう一度ゆっくり開く。―――ああ、そっか。俺、同棲を始めたんだった。
姉の結婚のため、家族の前で恋人役を演じてくれる人と同棲するという、俺の奇想天外な案がこうやって形になってみると、改めて自分はとんでもないことをやっていると思う。
親も姉も騙して、(実情はどうあれ)恋人と同棲していることをマスコミに嗅ぎつけられるリスクを負ってまで、いったい何やってんだって。
けれど、後悔はない。
それよりも、新しい生活への期待が大きい。
ベッドから降りて、カーテンを開ける。眩しい朝の光に、俺は目を細めた。
「おはよう」
「あ、おはよ。ちょうどよかった、朝ごはんができたところなの」
テーブルの上には、焼き魚と玉子焼き、揚げとほうれん草のお味噌汁、いんげんの胡麻和え、炊き立てのご飯、フルーツが並んでいる。
「「いただきます」」
二人で手を合わせる。
お世辞抜きで、美味しいな。味も量も自分にちょうどよい。
お味噌汁を口にしながら、Aをそっと窺う。彼女は朝の情報番組に目を向けていた。
ほんの一ヶ月半前まで名前も存在すらも知らなかった子なのに……二人で過ごす時間が違和感なく、自然に馴染んでいるのを不思議に感じる。
それだけに……。
彼女が「契約」という言葉を使ったことで、俺との距離を置こうとしているように思えて、ほんの少し……なんだろ、わかんねーけど、もやっとしていた。
いや、間違ってないんだよ。
互いの条件を出し合って、すり合わせて、今こうしているわけだから。そこに特別な感情はないし、書面は交わしていなくても「契約」だと思う。
俺が望んだ形で彼女が応じてくれているだけなのに……。
なんで、スッキリしないんだろ。
「結弦くん。私、買い足したいものがあるから、午前中は出かけてくるね。なにか買っておくものある？」
「いや、ない」
今日は、昼間は体のケアやイメトレして……その後は練習に備えて、夕方まで寝ておこう。一日のスケジュールを頭の中で組み立てる。それぞれが相手の生活のリズムに慣れるまで、しばらくの間は手探りになるだろうな。
ソファに座って新聞を読んでいると、出かける準備をしていたAの動きが止まっていることに気づく。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
