ep.3 ページ5
「あんたはこっちじゃないでしょ！」
キョトンと彼女を見つめていると、はぁ…とため息をつかれた。
「まだ寝ぼけてんのね…。それとも、さっき頭ぶつけた時にやられたか」
眉間にしわを寄せた呆れ顔の彼女は、私に指をさしてこう言った。
「あんたはリヴァイ班なんだからそっちに行きな」
リヴァイはん？
何で急に京都の人みたいなしゃべり方になったのかはわからないが、リヴァイは名前であろうということはなんとなくわかった。
そして、そのリヴァイという名前にはなぜか聞き覚えがあった。
彼女についていけば大丈夫だと思い込んで行動していた私にとって、
急な彼女の指摘には困惑させられたし、尚且つ知らない場所のはずなのに『リヴァイ』という聞き覚えのある名前にさらに困惑させられた私はフリーズした。
指摘したにもかかわらず一向に動かない私を見て、
「まったくあんたは…」
そう言って盛大なため息をついた。
そして誰かを探すかのようにキョロキョロと視線を彷徨わせ、ある一転に視点が止まり、そちらの方を向いて口を開いた。
「エレンー！」
エレンと呼ばれた男がこちらにやってくる。
その男は少し幼さを残した好青年だった。
そしてこの男に関しては、名前どころか顔まで見覚えがあった。
(知ってる、この人。でもなんで？)
まじまじと見ていると視線に気付いたエレンが戸惑った様子で尋ねてきた。
「あの…何か付いてますか？」
「いや、別に」
咄嗟によくない態度をとってしまった。
でもひとつ情報が得られた。
このエレンという青年は、私の後輩だということだ。
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作者名：勾 | 作成日時：2019年2月7日 17時
